試運転のため、大阪駅にサプライズで登場した「トワイライトエクスプレス瑞風」。まったくの偶然でその場にいた私は、ピカピカの車両を先頭車から最後尾まで駆け足で撮りました。外観と窓からのぞき見した車内をほぼ全車両を撮ることができたので、各車両のプロフィールとともに紹介します。
大阪駅にサプライズ登場したトワイライトエクスプレス瑞風
デビューの6月17日に向けて試運転を繰り返しているトワイライトエクスプレス瑞風。試運転ダイヤは非公表ですが、撮り鉄さんや偶然目撃した人に激写された写真・動画がすでに多数公開されていますね。
試運転の運行情報など知る立場にない私は、デビューするまで瑞風を見ることはないだろうと思っていましたが、意外と早く出会うことになりました。
2017年5月27日・午前9時55分ころ、緑色のボディーに金色の帯をまとった列車が大阪駅の10番線に入線しました。
大阪環状線のホームでそれに気付いた私が、大急ぎで10番線ホームに駆けつけてみると…
ホームの行先表示板には「回送」の表示。
この時点ではホーム上はガラガラ。JRの制服姿の人たちが目立つくらいでした。まさにサプライズ!
山陰(下り)コースを想定した予行演習
この日はデビュー初便と同じ「山陰(下り)コース」を想定した本番さながらの訓練だったらしく、乗客に扮した人を車内に案内するクルーの様子も見られました。
ホーム上でカラッポの台車を押している人がいたのですが、本番では乗客の荷物を運ぶポーターなのでしょう。
ホームに居合わせた人たちに見送り用の旗が配られていました。私もひとつもらいました(笑)
本番運行でこのような演出をするのですね。
ホーム上は瑞風撮影会に
京都方面の快速・新快速が発着する8番線ホームからも、瑞風の姿が良く見えたことでしょう。スマホで撮影する人がたくさんいました。
もちろん、反対側の11番線も同様です。
先頭車付近は人だかりができていました。サプライズだったのでこの程度の人数でしたが、デビュー後は大変なことになるでしょうね。
瑞風の車両を一気に撮影しました
私も急いで撮影開始。何分間停車しているのかわからないので、とにかく先頭車から最後尾まで駆け足で撮りました。
ほぼ全車両を撮ることができたので、各車両のプロフィールを添えて写真を掲載します(無断転載禁止!)。
展望車(10号車・キイテ87-2)
このときは京都方の10号車が先頭車でした。
列車の両端に展望デッキがある特徴的な意匠。
先行するクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」や「トランスイート四季島」には外に出られる展望デッキはありませんから、瑞風ならではの個性と言えるでしょう。
金色の5本の柵が「アメフトのヘルメットみたい」という意見もあるようです。言われてみるとたしかに(笑)
車内からの展望を確保するため、運転席が屋根上に配置されています。
それがちょうど、かつての特急車両を彷彿とさせるデザインとなっています。
これも「ノスタルジック・モダン」というコンセプトにマッチしているのでしょう。
車両番号は「キイテ87-2」です。キは気動車(ディーゼルカー)、イは一等車、テは展望車を表します。
厳密にいうと瑞風は純粋なディーゼルカーではなくて、ディーゼル発電とモーター駆動を組み合わせたハイブリッド方式を採用しています。ごく簡単に言うとトヨタのプリウスみたいな仕組みです。
展望車(1号車・キイテ87-1)
同じ型式ですが、反対側の展望車も載せておきますね。
このときは神戸方の1号車が最後尾だったため、真っ赤なテールランプが点灯しています。
10号車と同様に屋根上に運転室、その下に展望デッキがあります。
展望デッキに出ることができるのは最後尾になるときだけ。先頭を走るときに展望デッキに出たら、いろんなもの(例えば虫や鳥)がぶつかってきてケガをする恐れがあるためです。
サンライズ瀬戸・出雲の285系を思わせる形状の車体と窓の配置。同じデザイナー(福田哲夫氏)の手によることがうかがえます。
車両番号は「キイテ87-1」です。よくみると特長的なフォント(字体)ですね。こんなところにも「ノスタルジック・モダン」なこだわりがあるようです。
ロイヤルツイン寝台車(2号車・キサイネ86-1)
瑞風の一般的な客室であるロイヤルツイン寝台車。型式は「キサイネ86」です。
サは付随車=つまり、動力をもたない車両を意味します。寝台車なので、エンジンやモーターの音や振動がないようにしているのです。
ネは寝=つまり、寝台車を表す記号です。
ドア付近。白黒のチェック模様の床が目を引きます。
ロイヤルツイン寝台車(3号車・キサイネ86-101)
窓ガラスが反射して見にくいですが、303号室の室内をのぞくことができました。
まさに「動くホテル」といった感じのお部屋ですね。
乗車中は通路側の扉を大きく開いて景色が眺められるようになっています。
お部屋の数(=3室)の大きな窓があります。
ロイヤルツイン(ユニバーサル仕様)・ロイヤルシングル寝台車(4号車・キサイネ86-401)
車椅子マークが付いている4号車には、ユニバーサル仕様のロイヤルツインが1室とロイヤルシングルが2室あります。
昔ながらの寝台列車を思わせる二段ベッドがあるという、ロイヤルシングルのお部屋はのぞき見できませんでした。残念!
車両番号は「キサイネ86-401」です。
4号車のドア付近に集まって、なにやら物々しい雰囲気。
4号車には車掌室もあります。
ラウンジカー(5号車・キラ86-1)
窓際に並んだグラスで、ここがラウンジカーのバーカウンターだとわかりました。
「サロン・ドゥ・ルゥエスト」(フランス語で”西のサロン”の意味)という愛称が付いているそうです。
ふかふかのソファーが並んでいました。ここに座って飲むお酒は格別でしょうね。
「TWILIGHT EXPRESS MIZUKAZE」の活字だけのエンブレム。
車体番号は「キラ86-1」。ラはラウンジカーを表す記号で、国鉄時代を通じて初登場の型式だそうです。この車両は動力車でもあります。
ダイニングカー(6号車・キシ86-1)
トワイライトエクスプレスの食堂車(ダイニングカー)といえば「ダイナープレヤデス」。伝統ある名前が瑞風に継承されています。
型式はキシ86。シは食堂車を表す記号です。この車両は動力車でもあります。
ひときわ大きな「TWILIGHT EXPRESS MIZUKAZE」のエンブレム。
凛々しい制服姿でお出迎え。
このテーブルをどんな料理が彩るのでしょう?
列車内とは思えない華やかさ。
縦長の窓の向こうはオープンキッチンの厨房。料理人らしき人影が見えました。
見慣れたホームのとなりに別世界が広がります。
ザ・スイート寝台車(7号車・キサイネ86-501)
型式はキサイネ86でありながら、他の車両とは異なる窓の配置が目印のザ・スイート寝台車。1両1室という世界的にもめずらしい贅沢なお部屋です。
この車両だけ2階建て構造となっており、1階に通路を配置して、2階に広いお部屋を確保したそうです。
列車内の個室とは思えない広々としたリビング。
車内にはバスタブ付きのバスルームもあるそうな。一目でいいからのぞいてみたい!
車両番号は「キサイネ86-501」です。
「近ミハ 定員4」の表示。
この車両の定員はエキストラベッド使用で最大4名。通常は2名での利用ですから、その贅沢ぶりが際立ちます。
ロイヤルツイン寝台車(8号車・キサイネ86-201)
ロイヤルツイン寝台車(9号車・キサイネ86-301)
ロイヤルツイン寝台車(2号車・キサイネ86-1)(3号車・キサイネ86-101)と同様です。
トワイライトエクスプレス瑞風・大阪駅発車シーンの動画
もう発車するのではないか?と焦りながら大慌てで撮影したのですが、意外と長時間停車していました。
「10番線の列車が動きますので離れてください」というアナウンスが聞こえましたが、発車ベルが鳴ることなく静かに発車しました。
一足先にデビューした「トランスイート四季島」の出発式ではハンドベルで発車を告げたそうですが、瑞風はどんな演出があるのか楽しみですね。
試運転の発車シーンを動画に撮りましたのでご覧ください。
最後尾の展望車に人が出ていましたね。うらやましい!
本番でもこのようなシーンがきっと見られて、テレビや雑誌などで報じられることでしょう。
大阪駅を発車したのは10時18分でした。山陰下りコースの本番運行もおそらくこの時間になると思われます。
撮影を終えて
瑞風との予期せぬ出会いに興奮して手が震えるほどでしたが、たくさんの写真が撮れてよかったです。
乗車前に実物をじっくり観察することができて本当にラッキーでした。
それにしてもツヤツヤの車体で鏡のように反射するので、撮影が難しい車両だなあと感じました。