近鉄で大回り乗車|布施~大和西大寺~大和八木の環状経路を利用するときの注意点と楽しみ方[動画解説あり]

大回り乗車ができるのはJRだけではありません。JRに次ぐ長距離路線網を誇る近畿日本鉄道(近鉄)の布施~大和西大寺~大和八木をつなぐ三角形の区間で大回り乗車が可能です。利用する際の注意点や近鉄大回り乗車の楽しみ方を解説します。

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目次

近鉄で大回り乗車ができる区間

※近鉄では「環状経路を部分乗車」という説明をしていますが、ややこしいのでこのページでは「大回り乗車」と表記します。

布施~大和西大寺~大和八木をつなぐ環状経路

近鉄の路線図を見ると、布施~大和西大寺~大和八木の3駅をつなぐ区間で大回り乗車が可能です。

例えば、

布施=<近鉄奈良線>⇒大和西大寺=<近鉄橿原線>⇒大和八木駅=<近鉄大阪線>⇒俊徳道

という乗り方をしても、運賃は布施⇒俊徳道の一駅分、大人150円でOKです。

近鉄生駒線と田原本線は大回り乗車の対象外

路線図を見ると、もうひとつ環状に見える区間に気付くと思います。

近鉄生駒線(生駒~王寺)と近鉄田原本線(新王寺~西田原本)がつないでいる区間です。

「田原本線が少し離れているけれど、同じ近鉄線なのだから大回り乗車に使えるのではないか?」と考える人がいるかもしれませんが、この区間で大回り乗車はできません。

王寺駅と新王寺駅、西田原本駅と田原本駅はそれぞれ別の駅で、一旦改札を出ないと乗り換えができません。徒歩ですぐに乗り継げるのですが、そういう決まりだとしか言えません。

近鉄大回り乗車がJRルールと異なる点

近鉄で大回り乗車する場合、布施ー大和八木ー大和西大寺の環状区間内の駅で、改札を入場または出場またはその両方をすることなく通過してはいけません。

もし通過のみの場合、乗車距離に応じた運賃を支払わなければなりません。

成功例と失敗例を図にしてみました▼

河内永和駅は環状区間内の駅ですから、ここで改札を出るのであれば、大回り乗車として最短経路の運賃(鶴橋→河内永和)でOKです。

鶴橋で入場して大和八木経由で近鉄奈良まで行き、改札を出場する場合。

これは環状区間を通過するだけですから、近鉄では大回り乗車とみなされません。

つまり、乗車距離に応じた運賃を支払うことになります。

JRルールと同じだと思い込んでいたら、このような失敗をしかねません。十分お気を付けください。

近鉄大回り乗車で特急列車に乗れる?

大回り乗車の乗車券でも、特急券を別途購入すれば特急列車に乗れます。布施駅に停車しない列車であれば鶴橋駅から利用できます。

近鉄大阪線、奈良線、橿原線ともに有料特急列車が走っているので、短い距離ですが、特急料金を払ってつかの間の旅行気分を味わってみてはいかがでしょう。

近鉄大阪線、奈良線、橿原線の有料特急列車を乗り継ぐことも可能です。

近鉄のホームページには以下のような乗り継ぎの規則が書かれています。

特急列車を乗り継いでご利用される場合の料金計算方について

豪華で快適な設備が人気の特急ひのとりにも乗れます(停車駅は要確認)。

各線で活躍するスタンダードカー(ACE)も十分快適。

近鉄で大回り乗車ができる根拠

近鉄で大回り乗車ができる根拠は、近鉄の旅客営業規則に明記されています。

関連する条文を抜粋したのが次のスライドです。

近鉄のホームページによると、 布施~大和西大寺~大和八木~布施を大回り乗車する場合の運賃計算方法を以下のように定めています。

乗車券(普通券・回数券)の運賃計算経路以外をご乗車いただけるのは、つぎの場合とその区間に限ります。

  1.  布施~大和西大寺~大和八木~布施の「環状経路」を部分乗車される場合 →運賃計算経路以外の環状経路の区間 ※環状経路内は、距離の短い方の運賃で遠回りの経路もご乗車いただけます。ご指定のない限り距離の短い経路で運賃を計算します。
  2. 布施以東の大阪線と奈良線を乗り継ぐ場合で、布施を通過する列車をご利用のとき →鶴橋~布施の区間(団体券にも適用します。)

1.はJRでいうところの「大都市近郊区間内のみを利用する場合の特例」にあたるものですね。

2.もJR流にいうと「分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例」にあたります。運賃計算に詳しくない人にはわかりにくいかもしれませんので、次項で説明します。

布施~鶴橋間を重複乗車できる特例

快速急行や多くの特急列車は布施駅やそのとなりの今里駅を通過しますが、鶴橋駅には全列車が停車します。布施駅で乗り換えたくても乗り換えできない利用者が出てくる可能性があるわけです。

そんなときの救済措置が、次のように定められています。

例.名古屋方面から生駒へ行く場合

名古屋方面から乗車した特急が布施に停車しない列車だと、手前の停車駅で普通列車に乗り換えなければなりません。しかも布施駅には奈良行き快速急行が停車しないので、生駒まで非常に時間がかかってしまいます。

そこで、利用者の便益向上や運賃計算を単純化するために、布施~鶴橋間は重複乗車しても運賃計算に含めないことになっているのです。

この例でいうと、実際の乗車経路が名古屋⇒鶴橋⇒生駒だったとしても、名古屋⇒布施⇒生駒を乗車したとみなして運賃計算します。

近鉄大回り乗車の楽しみ方

近鉄奈良線から望む大阪平野

大阪側で新生駒トンネルに入る前、出た直後に見える大阪平野の眺めは格別です。人工物に埋め尽くされた大地ですが、日本三大車窓に負けない景観だと私は勝手に思っています。

布施・大和西大寺・大和八木の3つのターミナル駅を観察

布施駅

近鉄大阪線と奈良線が分岐する高架駅で、ホーム階が上下に分かれているのは関西ではめずらしい構造といえます。

ホームに面しない通過線が設けられていて、分岐駅でありながら快速急行とほとんどの特急が停車しないというのもおもしろい特長です。

ホームにはファミリーマートの売店があるので便利です。

大和西大寺駅

近鉄奈良線と京都線、橿原線が平面交差していて、日夜ほぼ絶え間なくレールを刻む音が聞こえてきます。複雑かつ頻繁に出入りする列車は眺めているだけでも迫力があります。

鉄道ファンにはたまらない! たくさんの電車が出入りする光景を気兼ねなく楽しめる展望デッキがあります。

2階の展望デッキから京都・大阪方面の電車を眺めることができます。

入口の壁面には車両の写真が並んでいます。

エキナカの充実ぶりにも目を見張ります。改札内にTime’s Place 西大寺という駅ナカショッピングモールがあって、スーパー、コンビニ、駅そば、イートインにスイーツのお店もあります。大回り乗車の強い味方です。

大和八木駅

近鉄大阪線と橿原線が交差するこの駅の最大の見どころは、大阪線と橿原線をつなぐ短絡線(新ノ口連絡線)です。主に京伊特急が乗り入れています。

ホームにはファミリーマートの売店があるので便利です。

近鉄の大回り乗車の前後につながるJRおおさか東線

布施駅の東隣の駅、近鉄奈良線の河内永和駅と近鉄大阪線の俊徳道駅は、ともにJRおおさか東線との乗り換え駅です。

次のような近鉄大回り乗車をしてからJRおおさか東線に乗り換えできるので便利です。

  • 布施駅から時計回りに、大和西大寺駅⇒大和八木駅⇒俊徳道の順に大回り乗車
  • 布施駅から反時計回りに、大和八木駅⇒大和西大寺駅⇒河内永和駅の順に大回り乗車

近鉄大回り乗車のポイントを動画で解説

近鉄大回り乗車の基本ルールと間違いやすいポイントをわかりやすく解説しています▼

まとめ

JRに次ぐ長距離路線網を誇る近鉄では、JRと同様な大回り乗車が布施~大和西大寺~大和八木の環状経路で可能です。通勤通学路線として、あるいは名古屋、伊勢方面の観光、ビジネス特急が行き交う近鉄は、眺めているだけでも飽きることがありません。近鉄ファンや近鉄大好きなお子さんに、この大回り乗車をおすすめします。

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編集:「旅と鉄道」編集部
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