西武鉄道の所沢と国分寺のあいだには、複雑に絡み合うような環状区間があります。果たしてこの区間で大回り乗車してもいいのでしょうか? 西武の旅客営業規則を読み解きながら、その可否を解説します。
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西武で大回り乗車ができる環状区間
所沢と国分寺のあいだにある複数の環状区間で、いわゆる大回り乗車ができます。
- 新宿線(小平~所沢)
- 池袋線(所沢~西所沢)
- 狭山線(西所沢~西武球場前)
- 山口線(西武球場前~多摩湖)
- 多摩湖線(国分寺~多摩湖)
- 国分寺線(国分寺~東村山)
- 拝島線(小平~小川)
の各線で囲まれた環状経路です。
西武鉄道における大回り乗車のルール
重複しない一筆書きの経路で大回り乗車ができます。
国分寺線の東村山~小川のあいだで多摩湖線と交差していますが、乗り換え駅がないため、ここで経路が重なるのは問題ありません。
環状経路上の駅で、改札を入場または出場または両方を行う場合、もしくは、環状経路を通過するだけの利用もOKです。
大雑把に言うと、JRルールに準じた大回り乗車ができます。
西武鉄道の旅客営業規則(特定区間における旅客運賃計算の営業キロ)
(旅客運賃・料金計算上の経路等)
第67条 旅客運賃・料金は、旅客の実際乗車する経路および発着の順序によって計算する。(特定区間における旅客運賃計算の営業キロ)(特定区間における旅客運賃計算の営業キロ)
第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間内各駅発着または通過する場合の普通旅客運賃は、太線区間内の最も短い営業キロによって計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。(特定区間を通過する場合のう回乗車)
第159条 旅客は、普通乗車券(回数乗車券または団体乗車券によって、第70条に掲げる図の太線区間 を通過する場合には、この区間をう回して乗車することができる。ただし、団体乗車券による場合は 運輸上支障ない場合に限る。(特定区間発着の場合のう回乗車)
「西武鉄道 旅客営業規則」より引用
第160条 第70条に掲げる図の太線内にある駅発または着(相互発着を含む。)の普通乗車券または回数乗車券を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、う回して乗車することができる。
2 前項の規定により普通乗車券でう回乗車した場合において、そのう回中の途中駅に下車したときは、 区間変更として取り扱う。
この条文を根拠として、西武鉄道の環状区間において、いわゆる大回り乗車ができると判断します。
西武の大回り乗車は乗り換えが多い
西武の大回り乗車は、距離は長くありませんが、複数の路線が交わっているために乗り換え回数が多いのが特徴です。
環状経路上の乗換駅
- 所沢駅(新宿線・池袋線)
- 西所沢駅(池袋線・狭山線)
- 西武球場前駅(狭山線・山口線)
- 多摩湖駅(多摩湖線・山口線)
- 東村山駅(新宿線・国分寺線・西武園線)
- 小平駅(新宿線・拝島線)
- 萩山駅(拝島線・多摩湖線)
- 小川駅(拝島線・国分寺線)
- 国分寺駅(国分寺線・多摩湖線)
この狭いエリアに、同一会社線だけでこんなにたくさんの乗り換え駅があるのは珍しいと思います。
それだけでなく、一部の乗換駅では各線のホームが離れているところがあり、初めてだと面食らう人もいそうです。
初めて来た人がとまどいそうな乗り換え駅(国分寺駅、西武球場前駅、多摩湖駅)を詳しく見てみましょう▼
西武の国分寺駅で乗り換える場合(国分寺線⇔多摩湖線)
国分寺線のホームは1階にJR中央線と並行してありますが、多摩湖線のホームは2階の少し離れたところにあります。
西武球場前駅で乗り換える場合(狭山線⇔山口線)
6番線まである狭山線のホームと、山口線(レオライナー)のホーム(7・8番線)は離れているため、連絡通路を少々歩かなければなりません。
多摩湖駅で乗り換える場合(多摩湖線⇔山口線)
多摩湖線のホーム(1・2番線)と山口線のホーム(3番線)は、同一ホーム上にあるため階段なしで乗り換えできて便利です。
とはいえ、都市部では珍しいホーム配置なので、はじめてだと気付きにくいかもしれません。
西武山口線(レオライナー)の車両
西武山口線のレオライナーは、わずか3駅のミニ路線。
しかも鉄軌道ではなく、ゴムタイヤの新交通システムという、異色の路線となっています。
西武大回り乗車のモデルコース例
所沢駅から一駅となりの東村山駅まで大回り乗車するコースを考えてみました。
全行程90分で乗り換え回数が4回もあります。運賃は150円です(下図)▼
西武の特急列車に大回り乗車で乗れるか
西武池袋線を走る特急ラビューと新宿線を走る特急レッドアロー。
これらの特急列車に大回り乗車で乗れるでしょうか?
答えは、特急券を購入すれば乗れます。
とはいうものの、西武の大回り乗車の経路では、特急列車でぐるっと一周するようなコースを取ることができません。
所沢、東村山、西武球場前に停車する特急列車を利用して、環状区間にアクセスするという利用の仕方になります。
全車指定席の「S-TRAIN」についても、指定券を購入すれば乗車できます。
しかし、特急列車の場合と同様に、大回り乗車で乗るメリットは特にありません。
西武鉄道の車両
各線で活躍する、新旧バラエティ豊かな車両たちに出会えます。
大回り乗車で乗り比べしたり、写真撮影してみてはいかがでしょうか。
西武大回り乗車を動画で解説
西武鉄道の大回り乗車 まとめ
乗車時間は短いものの、レオライナーを含む複数の路線を乗り換えるのが面白いコースです。
お近くの方は暇つぶしにいかがでしょうか?