福知山線・塚口駅発、大回り乗車で加古川線~JR東西線~万葉まほろば線を旅しました|230円で11本の列車に乗車!

はじめての大回り旅で乗れなかった、加古川線、JR東西線、桜井線、奈良線を通る大回りを実行してみました。

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目次

プロローグ - ふりだしは塚口駅

2013年7月13日、土曜日。この日は「海の日」の3連休初日でもある。天候はあいにくの曇り空。しかも午後からにわか雨の予報。そんなことはお構いなしに、かねてよりやりたいと思っていた「大阪近郊大回り乗車・加古川線ルート」を決行することにした。今回は下図の赤線のルートをたどります。

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まとわりつくような湿気と猛暑に閉口しながら、しかし、駅へ向かう気持ちは弾んでいる。まずは今回のふりだしの駅、福知山線の塚口駅に到着。改札を出るとその脇にミニコンビニ風のキヨスクがあった。少し時間があったので西口を出たところにあったセブンイレブンで食料を調達した。

駅に戻り、自動券売機で切符を購入。大阪駅までは230円。これからはじまる大旅行を思えば安い買い物だ。

第1走者・塚口→川西池田 (1135B 普通・新三田行き)

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トップランナーは新三田行の207系普通列車。旅の最初を飾るには地味と言わざるを得ないが、「千里の道も一歩から」。これから面白くなっていくのだよ!(笑)。10分の乗車で川西池田駅に到着した。

第2走者・川西池田→篠山口 (2723M 丹波路快速・篠山口行き)

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第2走者は225系・丹波路快速のお出まし。あいにく転換クロスシートは全席埋まっていたが、ドア脇の補助席に腰を下ろすことができた。お昼には少々早いが、腹の虫が鳴り出したのでサンドイッチを頬張る。すると、次の中山寺駅から男子高校生の一団が乗り込んできた。ちょっと気まずさを感じながら、一気に食べきった(笑)。

宝塚を過ぎて長いトンネルをいくつか抜けると、一気に視界が開けて緑豊かな山郷の景色が目に入る。駅で扉が開くと、草生した匂いが容赦なく飛び込んでくる。ああ、これこれ。このにおい。眠っていた嗅覚が呼び覚まされる。

第3走者・篠山口→谷川 (2539M 普通・福知山行き)

丹波路快速は篠山口まで。到着ホームの向かいに停まっている普通列車に乗り換える。

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6両編成の丹波路快速から2両編成のワンマン列車めがけて乗客の大移動。でも意外と満席にならず、最後の方で車内に入った私でも着席できた。ホーム上に売店があるのだが、利用客はいなかったようだ。

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丹波大山駅を過ぎると、右手の車窓に川代渓谷の眺望を楽しめる。ついでにいうと、2008年にこの付近でティタノサウルスの化石が見つかったそうで、下滝駅前に恐竜の石像が設置されているのが見えた。

第4走者・谷川→西脇市 (2326S 普通・西脇市行き)

谷川駅・駅名標

福知山線と加古川線の分岐駅である谷川駅。ホームには「円応教」の看板が目に付く。ここからバスで10分のところに円応教の本部があるそうだ。

列車を撮る親子

次の発車まで少し時間がある。手持ち無沙汰でホームをぶらぶらしていたら、親子が熱心に列車の写真を撮っていた。微笑ましい。

加古川線125系車内

谷川駅発車前の車内の様子。125系という形式のワンマン列車で、関空・紀州路快速のような一人掛けのクロスシートがあるのが特徴的。青春18きっぷが使えない時期のためか、空席が目立っている。

定刻12時10分に谷川駅を出発。一つ目の駅・久下村を出ると右手に円応教本部の建物が見えた。初めて見てもそれとわかる立派な建物である。車窓に見える篠山川はやがて加古川に名を変える。

「プオーン!プオーン!・・・プオーン!」
断続的に警笛が鳴らされ、ついには列車が急停車!
「何ごと!?」
数人の乗客が運転席の方へ駆け寄った。

どうやら踏切の無謀横断があったようだ。その“犯人”とみられる老婆が踏切脇で手を振っていた。ローカル線らしい(?)珍事であった。

第5走者・西脇市→加古川 (1338S 普通・加古川行き)

西脇市駅にて

西脇市駅で加古川行に乗換え。ホームが違うので跨線橋を渡らなければならない。

小さい駅ながら3番線までのホームを有するのは、かつて鍛冶屋線の分岐駅であった名残りだろうか。乗り継ぎ客も多いだろうに、同じホームで乗り換えられるようにするか、加古川まで直通運転してくれたらラクなんだけど。まあ、私にとっては跨線橋上から写真を撮るチャンスができて良かったのだが。

加古川行の列車はおなじみの103系(注:3550番台)なのだが、フロントマスクは貫通扉の付いた特異な意匠だし、青緑のボディカラーも関西では馴染みがない。ともかく、姿は違えど今も現役で頑張っているのには頭が下がる。

ドア横の開ボタンを押して車内に入ると野球部員と思しき高校生が大勢乗っていた。途中駅で下級生が上級生に挨拶して降りていく姿が、久しぶりで新鮮だった。

加古川駅の一つ手前の日岡駅で乗客が倍増した。まずいな・・・。次の加古川駅では5分の接続で新快速に乗り換える。通常なら楽勝で乗り換えできる時間だが、加古川線と山陽本線の乗り換え口には中間改札があるため、有人の改札口が渋滞したり、大回りの説明でもたもたしていると間に合わなくなる恐れがある。

加古川駅到着。扉が開くと我れ先に中間改札へ駆け下りていった。

第6走者・加古川→尼崎 (3272M 新快速・近江塩津行き)

加古川駅の中間改札風景

今回の大回り旅の一番のヤマ場と言っていいだろう。加古川駅の中間改札。加古川線は無人駅が多いため、このような中間改札を設けて不正乗車防止を図っている。私が持っている「塚口→230円」の切符をこの中間の自動改札機に通したなら、「ピンポーン!」とはじき出されるに違いない。機械は大回り乗車のことなんて知らないからね。

ということで、列車を降りて一番で有人改札に駆け込んだ。係員に切符を見せて、

「すみません、大回りしてます。」

「ああ、どうぞー」

…あっけなかった。

乗車経路を問い質されることもなく、すんなり通してくれた。きっと、ここでは珍しいことではないのだろう。

加古川駅・まねきのえきそば

中間改札を出ると目の前に「えきそば」の文字が。ここは姫路駅のえきそばと同じ「まねき食品」のお店なので、名物の中華めんのおそばが食べられます。今回は食べられなくて残念でした。このほか、改札内にコンビニがあるので何かと便利です。

加古川駅・電光掲示板

心配事はまったくの杞憂に終わり、13時38分発の新快速に余裕で乗り継くことができた。12両編成の列車はやや混雑していたものの、後方の車両に移動したら空席があった。

4人掛けのボックス席に一人で腰かけていたら、明石駅で3人グループのじいさんと相席になった。3人ともサングラスをかけていて、よく日焼けした肌に深いシワが刻まれている。

賑やかに話していたので否応もなく聞いていたのだが、どうやら漁師をしている(または、していた?)らしく、海の様子や魚の獲れ具合を気にしているようだった。実のところ、声は大きくてよく聞こえるのだが、なまりがきつくて内容は半分もわからなかった。

じいさん達の話は置いといて・・・。明石から須磨に至る車窓風景は秀逸だ。なんといっても明石海峡大橋。淡路島がすぐそこに見える。垂水から須磨までは波打ち際に迫るほど海が近い。夏の日差しに照らされた水面が眩しい。行き交う船舶も多くてずっと眺めていても飽きそうにないのだが、新快速はこの海沿いの区間を5分もかからず駆け抜けてしまう。

神戸駅で件の3人が降りていくと、車内は急に静かになった。六甲の山並みが間近に見える。神戸は坂の町。狭い平地に高層ビルが林立している。1995年の阪神淡路大震災も遠きになりにけり。見た目には、ここがあれほどの大惨禍があった場所とはとても思えない。

屏風のように連なる六甲連山が途切れて視界が開けると、間もなく福知山線の線路が合流してきた。

第7走者・尼崎→京橋 (4522B 普通・松井山手行き)

新快速は時刻表通りに尼崎駅に到着した。ここでホームが変わって14時25分発・JR東西線・松井山手行き普通列車に乗り換えた。神崎川を渡るとすぐ地下へ潜って加島駅に到着。JR東西線はほとんど地下を走るので車窓の楽しみは奪われてしまう。ゆえに京橋へ向かうなら大阪環状線経由を選んでしまうのだが、「食わず嫌いは良くない!」ということで久々に乗ってみた。

・・・でもやっぱり、特に印象に残ることはなく、知らぬ間に京橋駅に到着していた。「JR東西線」という特色のない路線名もイマイチだなあ。「片福連絡線」の方がまだマシだった気がする。JR西日本得意の愛称をつけてみてはいかがだろうか?

第8走者・京橋→天王寺 (3429K 大和路快速・天王寺行き)

京橋駅・電光掲示板

大阪環状線・京橋駅ホーム。さすがに人が多い。大阪らしいゴチャっとした雰囲気が充満している。構内には立ち食いソバの他に柿の葉寿司やスイーツの売店があったりとバラエティに富んでいる。

次にやって来たのはオレンジ色の103系ではなくて、天王寺行きの大和路快速・221系だった。下車客が多く、入れ替わりで着席できた。右手の車窓には大阪ビジネスパークのビル群が整然と並んでいて、その向こうに大阪城の天守が見える。次の大阪城公園駅はいうまでもなくその大阪城の最寄駅であるが、大物ミュージシャンのコンサートなどのイベント会場として有名な大阪城ホールもすぐ近くにある(鉄道好きは左手の森ノ宮電車区の方を注目すると思いますが・・・)。

森ノ宮を過ぎるとディープ大阪を感じる風景。近鉄との接続駅・鶴橋は大阪のコリアタウンとして知られている。昼間っから焼肉のにおいが漂ってきて鼻をくすぐられる。窮屈そうな街並みのあいだを抜けると天王寺駅に到着した。

第9走者・天王寺→王寺 (3424K 大和路快速・加茂行き)

大阪環状線の南のターミナル、天王寺駅。紀勢線方面の長距離列車の始発駅だった名残りなのか、駅ナカの飲食店や売店はとても充実している。うどん・そばはもちろん、カレーハウスに喫茶店、焼き立てパンの店にコンビニもある。予定ではここで遅い昼食を摂るつもりだったのに、間食しすぎてちっとも腹が減ってない。悔しいけれど素通りするしかなかった。

関西本線車窓から大和川を眺める

15時15分発の大和路快速で王寺へ向かう。前回の大回り旅では王寺から久宝寺方向に乗ったので、今回は逆向きにしてみた。生駒山地の南端をかすめて流れる大和川に寄り添いながら県境を越えていく。天王寺からわずか10分ほどでこんな山峡の景色が拝めるなんて、大阪平野は狭いもんだ。

第10走者・王寺→奈良 (560S 普通・奈良行き)

「次は王寺です。万葉まほろば線方面はお乗換えです。」

今なんとおっしゃいました?「万葉まほろば線」、路線名として普通にアナウンスされているんだね。でも、王寺駅では万葉線と言ってたり、また別の場所ではまほろば線と言ってたり。現場の職員さんも「万葉まほろば線」は言いにくいのだろう。共通して言えるのは、桜井線という名称は一切使われていないということである。

王寺駅・電光掲示板

電光掲示板に「まほろば」の4文字を押し込めていたのは見事だった。それにしても、「万葉まほろば線」は桜井線の愛称であって、王寺~高田間の和歌山線は範囲外なのでは?と思ったのだが、現場ではどのように使い分けているのかよくわからなかった。

105系電車

15時38分発、万葉まほろば線経由の奈良行きは、朱色の帯が印象的な105系電車だった。畝傍、香具山、三輪・・・万葉の舞台らしい駅名を見るのも楽しい。

王寺駅全景

王寺駅を出るまでは夏らしい青空が広がっていたものの・・・

桜井線車窓

徐々に黒い雲が垂れ込め・・・

奈良駅付近の車窓

奈良駅に着く直前に、大粒の雨が窓に叩き付けた。

第11走者・奈良→京都 (656M 普通・京都行き)

せんと君パネル

「ようこそ奈良へ」
せんと君と奈良公園の鹿がお出迎え・・・って、見ての通り、ただのパネルですが(笑)

奈良線遅延の案内表示

外は大雨。次に乗る奈良線のダイヤが乱れているようだ。

奈良線普通列車

17時9分発の京都行は各駅停車。できれば「みやこ路快速」に乗りたかったのだが、あいにく時間が合わなかった。ロングシート車だろうと思ってホームに来てみると、221系列車が待っていたのでうれしくなった。乗客はまばらで、冷房が過剰に効いていて肌寒いくらいだ。どうやらダイヤの乱れは解消したらしく、定刻に発車した。

宇治橋

雨の車窓風景もたまにはオツなものだ。水滴でにじむ窓の向うは土砂降りの雨だが、涼しい顔して眺めていられる。というより冷房寒過ぎだけど・・・。

窓越しに宇治橋を撮影。2年前、炎天下を京阪宇治駅からJR宇治駅まで歩いたことを思い出す。あの時とは全く違う表情を見せてくれた。

エピローグ ~ 雨上がりの京都駅にて

京都駅全景

一部を除いてほとんどが単線となっている奈良線。行き違い待ちでたびたび数分間の停車を余儀なくされながら、1時間8分かかって京都駅に到着した。京都に着く手前で雨がぱったり止んだ。ホームに降りると車内と同じくらい涼しい。街全体が打ち水されたみたいにクールダウンしたようだ。

ここで東海道線に乗換えて大阪へ向かうつもりだったが、久しぶりに京都駅で降りてみたくなった。精算機に切符を入れて乗り越しの差額を投入する。大回りうんぬんを気にすることなく普通に精算できた。予定外の出費にはなるが、こんな乗り方ももちろんOK。旅の楽しみ方は無限大です。

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