鉄道で宇和島方面から高松方面へ行く場合、伊予市駅で伊予鉄道に乗り換えて横河原駅へ向かい、新居浜行きの特急バスに乗り継いで伊予西条駅へ抜けることができます。沿線の寄り道スポットとあわせて紹介します。
JR以外の民鉄や路線バスにも目を向けてみよう
青春18きっぷやJR四国のバースデイきっぷなどの乗り放題きっぷで旅行する人の中には、JR以外の民鉄やバスに乗らない行程を選んでしまいがちという人も多いのではないでしょうか。
その方が出費を抑えられていいのですが、頻繁に旅行する人だと同じ路線を繰り返し乗るケースが出てきてしまい、初めて乗った時のようなワクワク感や新鮮味が薄れてしまうのは避けられません。
そこでちょっと一工夫!
JRと並行する民鉄路線を使ってみたり、列車を降りて路線バスで駅から駅へつないでみると、いろいろなルートを選べて面白い旅を楽しむことができます。
一例として、予讃線の伊予市駅から伊予西条駅へJR以外の手段で移動する方法をご紹介します。時間帯によってはJR(普通列車)よりも早く移動できることもあるので要チェックですよ~♪
このルートの概要
伊予市駅~松山市駅~横河原駅~伊予西条駅の地図
※この地図上で示されたルートは実際の経路とは異なります。おおよそのイメージです。
JR予讃線が海沿いに伊予北条、今治を通って伊予西条へ至るのに対して、今回のルートは高輪半島の付け根部分をまっすぐ横切って伊予西条へ向かいます。乗り換えは多くなりますが、距離が短いぶん、予讃線と比べても所要時間に遜色はなく、むしろ早くなる場合もあります(普通列車同士の比較で)。
予讃線・伊予市駅から伊予鉄道・郡中港へ
実はすぐそばにある伊予市駅と郡中港駅
駅名が全然違うので旅行者にはわかりにくいのですが、実は両駅は交差点を挟んで向かい合っており、お互いに目視できるほどの距離です。
伊予市駅・郡中港駅周辺の地図はこちらをご覧ください↓
なぜ違う駅名なのか
歴史をたどると、この地域に初めて鉄道が来たのは1896年(明治29年)南予鉄道(現在の伊予鉄道)の郡中駅でした。郡中港駅は1939年(昭和14年)に一駅延伸されて開業しています。
JRの伊予市駅は、1930年(昭和5年)に国鉄讃予線(←当時の線名)南郡中駅として開業しました。その後、1955年に、郡中町、北山崎村、南伊豫村、南山崎村が合併して伊豫市が誕生したのに伴って、1957年(昭和32年)伊予市駅に改称されたそうです。
つまり、過去においても国鉄は南郡中駅、伊予鉄道は郡中港駅ということで、駅名が一致していなかったのですね。
伊予鉄道の駅名を「郡中港」から「いよてつ伊予市」にでも変えてくれたら、地元民以外には親切だと思います。しかし、駅名を変えなかったおかげで、歴史ある地名を今に伝えてくれていると言えそうです。
(この項はWikipediaを参考にしました)
駅前にあったコンビニも今はなく
この写真は郡中港駅のホームから伊予市駅方向を撮ったもの。
前回、2000年に来たときは交差点の角にデイリーヤマザキがあったのですが、なくなっていました。2017年4月現在、駅周辺に他のコンビニや売店はありません。
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伊予市駅前の喫茶店、カフェ・ラ・ガールで朝食を
訪れた日は朝からあいにくの雨。乗り換えの待ち時間があったので、雨宿りと朝食を兼ねて喫茶店に入りました。
伊予市駅前の交番のとなりにあるカフェ・ラ・ガールさんです。
正直に言うと、他に店がないので「仕方なく」ここに入ったのですが…
ジャズが流れる落ち着いた店内。サイフォンで淹れたコーヒー。目玉焼きが付いた「正統派」のモーニングセット。
窓際の席で二つの駅を眺めながら、素敵な時間を過ごせました。ウチの近所にあってほしいカフェです。
「花かつお通り」とは何ぞや?
2つの駅のあいだの道は国道378号線ですが、駅前の交差点を境に松山方を「市役所通り」、宇和島方を「花かつお通り」という名称が付いています。
なぜ、花かつおなのか?
これは伊予灘ものがたりに乗車したときに聞いた請け売りですが、伊予市にはかつお節関連の商品で全国的に有名な「ヤマキ」と「マルトモ」の2社の本社と工場があるのです。
それにちなんでということですが、海に近いとはいえ、かつおの水揚げ港でもないこの地がかつお節の生産拠点になっているのは不思議な気がします。
上の写真は予讃線の車内から撮影したものです。
郡中港を散策
郡中港という駅名が付いている割に、駅前に海の気配は感じられません。しかし、地図を見ると港はすぐ近くのようです。せっかくなので港まで歩いてみました。
駅前の交差点から、国道ではない方の道を進んでいきます。アーケードはありませんが、八百屋さんや鮮魚店などの個人商店が点々と店を開けていました。
ほんの2~3分で港に到着。小さな入り江の中に漁船がぎっしり停まっています。
陸側にはマルナカ伊予店が。港のすぐ隣という立地が私の意表を突きました。
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伊予鉄道で郡中港から横河原へ
伊予鉄道郡中線でまずは松山市駅へ
伊予市駅・郡中港駅周辺の町歩きを楽しんでから、伊予鉄道の列車に乗車。
郡中港駅から横河原までの運賃は620円です(2017年4月現在)。
この日は4月10日、月曜日。多くの学校が始業式を迎えたようで、駅に着くたびに初々しい感じの生徒たちが次々乗り込んできました。
「○○ちゃんと同じクラスだったよ~」とか「担任の先生は誰だった?」といった会話がそこかしこから聞こえてきます。
伊予鉄道の大ターミナルである伊予市駅に到着。郡中線の列車は他の路線に乗り入れないので、ここで必ず乗り換えとなります。
松山市駅から横河原駅へ
松山市駅で横河原行きの列車に乗り換えましょう。
伊予鉄道の郊外線の路線図を見ると、松山市駅を境に、高浜線、横河原線、郡中線という3つの路線が描かれています。そのうち、横河原線と高浜線は直通運転をしており、松山市駅で折り返し運転はありません(早朝・夜間の一部列車を除く)。
高浜方から来た列車に乗り込んで横河原へ向かいます。横河原線は単線で14駅もありますが、所要時間は約30分です。
駅舎が新しくなった横河原駅
横河原駅に到着。2016年1月に来た時には建設中だった駅舎が完成していました。バリアフリーに対応した機能的な建物です。
線路の終端部から横河原駅に停車中の列車を撮影。
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横河原駅から伊予西条駅へ、新居浜行き特急バスで連絡
特急バスの横河原バス停は駅前ではありません
横河原駅のすぐそばに「横河原駅前」というバス停がありますが、ここで待っていても新居浜行き特急バスは来ないのでお間違えの無いように!
横河原駅から横河原バス停への道順はこちらの地図をご覧ください↓
新居浜行き特急バスが停車する「横河原バス停」は県道334号線上にあります。地図で見ると「和田ふとん店」のあたりです。実際の目印は「くわばら」の青い看板がわかりやすいです(上の写真で「くわばら」の看板のとなりにあるのは松山方面のバス停です)。
横河原駅から150m、徒歩2分の距離ですが、初めての方は10分くらい余裕をみておいた方がいいでしょう。
横河原バス停にはオレンジフェリー連絡バスも停車
余談ですが、横河原バス停には大阪南港と東予港を結ぶ四国オレンジフェリーの連絡バスも停車します。
写真は新居浜・東予方面の時刻表です。
東予港からJR松山駅前へ向かう便は、6時50分に横河原バス停着。
JR松山駅前から東予港へ向かう便は、21時31分に横河原バス停発です(2017年4月現在)。
横河原バス停には待合所がありません
写真を見ておわかりの通り、横河原バス停は停留所のポールとベンチがあるだけで、屋根付きの待合所はありません。
民家のせまい軒下で雨宿りしながらバスを待つのですが、定刻を5分過ぎてもバスが来ません。
同じようにバスを待っていたおばさんが、不安になったのか「バス来ないですねえ」と話しかけてきた。「雨のせいですかねえ」と応じているうちにバスがやってきました。10分遅れでした。
新居浜行き特急バスに乗車
やってきたのは、特急バスだけあってリクライニングシートを備えた大型バスでした。
衣服やリュックについた水滴を払ってから、席に着いてホッと一息。
西条駅前までは1時間あるので、リュックに忍ばせておいた菓子パンと缶コーヒーを取り出しておやつタイム。
車内を見回すと、乗客数は10名ほどでなぜか女性が多い。
バスは松山自動車道には乗らずに国道11号線をひた走ります。
バスの車窓から見た石鎚神社の鳥居。
このバスで新居浜駅まで行くこともできますが、多くの普通列車の始発駅となる伊予西条駅で乗り換えるのが便利ですし、バス運賃も少しだけですが安く済みます。
私の場合、伊予西条駅のそばにある「四国鉄道文化館」に寄り道するという目的もありました。
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伊予西条駅に到着
10分の遅れを引きずったまま、伊予西条駅(バス停名は西条駅前)に到着しました。
横河原バス停から西条駅前まで、所要時間は約55分。運賃は1,180円でした(2017年4月現在)。
四国鉄道文化館に寄り道
0系新幹線やC57蒸気機関車をじっくり見られる
次の観音寺行き普通列車まで1時間以上の待ち時間があるので、伊予西条駅のすぐとなりにある「四国鉄道文化館」へ行ってみました。
入場料は大人300円なので気軽に立ち寄ることができます。
この施設は、予讃線の線路を挟んで北館と南館に分かれています。
伊予西条駅の駅舎側の北館には0系新幹線とDF50ディーゼル機関車が。予讃線の対岸にある南館にはC57蒸気機関車、キハ65、DE10ディーゼル機関車が展示されています。
また、屋外にはフリーゲージトレインも展示されています。
鉄道模型ジオラマを鑑賞
このほか、南館にはHOゲージの鉄道模型ジオラマがあって、鉄道の一日を追った10分ほどのプログラム(自動走行)を見ることができます。
伊予西条駅や瀬戸大橋を再現したストラクチャー(建造物)も見ごたえ十分でした。
すべての展示をじっくり見たいのであれば少なくとも2時間は必要ですが、駆け足で良ければ、1時間しかなくても一通り見学することができます。
予讃線で伊予西条を通る際は、途中下車して立ち寄ってみてください。
伊予西条駅から徒歩3分以内で高評価のホテル
伊予西条駅の近くにはシングル利用に便利なホテルが多くあります。列車で早朝出発や深夜到着の場合にも利用しやすいですね。
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まとめ
いかがでしたか?
乗り換えが多くて大変そうだと思われたかもしれませんが、見知らぬ町、駅、バス停でワクワクドキドキしながら、うまく乗り継いで旅がつながる喜びはひとしおです。
青春18きっぷでJRに乗りっぱなしもいいですが、時には視点を変えて、違う車窓を楽しんでみてはいかがでしょうか。