2017年8月、京阪電車初の有料指定席となるプレミアムカーがデビューしました。お金にシビアな関西人が利用するのか?と心配されましたが、実際はどうなのでしょうか。プレミアムカーのチケット予約・購入方法と、運行開始から5か月後の状況についてまとめてみました。
京阪プレミアムカーとは
京阪電車のプレミアムカーは、大阪・淀屋橋と京都・出町柳を結ぶ特急列車に連結されている有料指定席の車両です(一部の急行列車で運用されることもあります)。
プレミアムカーの料金
プレミアムカーに乗るには、通常のきっぷ(乗車券)のほかにプレミアムカー券が必要です。
プレミアムカー料金は下の図の通り。大阪市内の各駅と京都市内の各駅のあいだは500円です。
出典:京阪電車公式ウェブサイト
京阪プレミアムカーに乗るには
プレミアムカー券は、インターネットまたは駅窓口で予約・購入することができます。
それぞれの購入方法をお伝えします。
プレミアムカー券の発売日(購入期間)
プレミアムカー券の購入期間はインターネット・駅窓口共通で、乗車日の14日前の午前10時から発売されます。
購入期限は、列車出発の3分前までです。
インターネットで購入する場合
インターネットで購入するには、はじめに「プレミアムカークラブ」に会員登録する必要があります。
入会は無料ですので、スマホなどからササッと予約して乗りたいという方に便利です。
お支払いはクレジットカード払いのみですので、カードを持っていない方は先にクレジットカードを作りましょう。
例えば、ポイントがザクザク貯まる楽天カードは定番の一枚。筆者もお世話になっています。
プレミアムカークラブの会員登録とログインはこちらのページをご覧ください。
駅窓口で購入する場合
旅行などでたまにしか利用しない場合、プレミアムカークラブにわざわざ会員登録するのは煩わしいかもしれません。
その場合は特急停車駅の駅窓口でプレミアムカー券を買うことができます。
自動券売機では買うことができませんのでご注意ください。
また、ホーム上にプレミアムカー券の券売機はありませんので、改札口を入る前に購入する必要があります。
特急停車駅:淀屋橋、北浜、天満橋、淀屋橋、枚方市、樟葉、中書島、丹波橋、七条、祇園四条、三条、出町柳
淀屋橋駅のプレミアムカー券うりば(駅事務室)。自動券売機のきっぷ売り場の裏手にあって、初めてだとわかりにくい場所にあります。
プレミアムカーの予約状況を見るには
インターネットで調べる
プレミアムカーの予約状況はプレミアムカークラブのページで見ることができます。
空席照会するだけなら、プレミアムカークラブに会員登録しなくてもOKです。
駅の案内表示板を見る
駅構内に設置の案内表示板で、直近の列車の空席情報を見ることができます。
プレミアムカーの混雑状況
日中は毎時4本の特急列車が運行していることもあり、前日までの事前予約で満席になることは少ないようです。
当日、出発直前になって予約が埋まっていきます。
直近の列車がもし満席でも、10~20分待てば次の列車がありますので、どうしても急ぐのでなければ後の列車にすれば大抵は予約可能です。
ただし、行楽シーズンの休日は早く満席になりがちですので、前日までの予約をおすすめします。
京阪プレミアムカーの車内設備
プレミアムカーは6号車
特急列車は8両編成で、京都方から6両目、大阪方から3両目の6号車にプレミアムカーが連結されています。
金屏風のようなエントランスに、3つ星を戴いた伝統の鳩マークが描かれています。
上質な座り心地だったプレミアムカーのシート
座席は1列+2列からなる3列シートで、もちろんリクライニングシートです。
座席を回転させれば4人席として使えます。
座面はブラックのモケットシート。柔らかすぎず、堅くもない上質な座り心地です。
ヘッドレスト横が大きく張り出しており、ゆるやかな仕切りの役目を果たしています。
裏面は上品なベージュで、明るい印象。金色の鳩マークが誇らしげ。
目の前に「PREMIUM CAR」の文字。
プレミアムカー専属アテンダントが乗務
専属アテンダントが1名乗務しています。
アテンダントは各駅で着席状況を見て回りますが、プレミアムカー券の提示を求められることはありませんでした。
液晶モニターで停車駅やニュースなどを表示
車両の前後に液晶モニターが設置されており、次の停車駅の表示や、ニュース・天気予報などが流れています。
パソコン仕事や食事に便利な大型テーブル
収納式テーブルの背面に車内のご案内が記載されています。
テーブル面は広く、パソコンなども置きやすいと思います。
私は淀屋橋で買ったパンとホットコーヒーで軽めの昼食にしました。
移動しながら充電できるコンセントを全席に装備
ちょっと気づきにくいですが、ひじ掛けの先端にAC100Vのコンセントの口があります。
パソコンをつないだり、スマホなどの充電に重宝します。
車内では「KEIHAN FREE Wi-Fi」を無料で利用できます(90分まで)。
荷物棚の上にあるnanoe(ナノイー)発生装置が室内の空気を浄化してくれます。
ちなみに、パナソニック本社は京阪沿線の門真市にあります。
足下が広くてラクラク快適
シートポケットには「車内サービスのご案内」のシートが入っています。
プレミアムカー車内限定のグッズ販売もありますよ!
その横にはドリンクホルダーも付いています。
身長175cmの筆者の場合、足下はゆったりしており、余裕で足を組めます。
和テイストの車内デザイン
枯山水の庭をイメージさせるじゅうたんの模様。
ブラインドには、たなびく雲のような模様があしらわれていました。
観光客や車椅子の乗客への配慮
デッキ近くに荷物置き場が用意されているので、大きなスーツケースなどの収納に便利です。
車椅子スペースも完備しています。
京阪プレミアムカーに乗ってみた
デビューから5か月後の2018年1月に初めてプレミアムカーに乗車しました。
デビュー直後のブームが去った段階で、どれくらいの利用状況なのか興味津々です。
淀屋橋駅の駅事務室でプレミアムカー券を購入
プレミアムカー券は、「空いている列車に乗れればいいや」ということで、予約せずに淀屋橋駅に行きました。
空席状況の案内表示板には、先発の列車は△マーク(残りわずか)でしたが、次発以降は〇(空席有り)だったので1本見送って次の列車にしました。といっても10分遅らせただけですが。
駅事務室で発券してもらい、ホームへ。
乗車券は自動券売機で買うか、ICカードを利用します。私はICOCAで入場しました。
観光客だけでなく地元客の利用も多い
終点の出町柳まで乗り通したいところですが、用事のため三条で下車します。
土曜日だったこともあり、車内には京都へ遊びに行くのであろう家族連れやグループの客が目につきました。
淀屋橋を発車し、北浜、天満橋、京橋の各駅で少しずつ乗客を集め、プレミアムカーの座席がほぼ満席に。
途中の枚方市や樟葉で降りる人、乗ってくる人も結構あり、観光やビジネス利用だけでなく、沿線住民の利用も定着しているように見受けられました。
プレミアムカーの良い点
プラス500円の価値がある指定席
当たり前ですが、指定席なので必ず座れることが一番のメリットです。
足腰が弱いなどの理由で電車移動を好まなかった人にも、着席できる選択肢を提供できるようになりました。
そして、上質さを感じられる車内でゆったりくつろぎながら移動できるのは世代を問わず歓迎されるのではないでしょうか。
かく言う私は、利用する前は500円が惜しいと思いましたが、乗車後は「これで500円は安いんじゃないか?」と考えを改めました。
「もう少し乗っていたい」と思えるプレミアムカーでした。
プレミアムカーの残念な点
駅ホームでプレミアムカー券を購入できない
近鉄や南海では駅ホーム上に特急指定席券の券売機があるので、それと同じつもりで改札を通ってしまうと、ホーム上で愕然とすることになります。
これから整備されることを期待したいと思います。
車内にトイレがない
プレミアムカーにはトイレが付いていると勝手に思い込んでいたのですが、トイレはありません。
全区間乗り通しても1時間弱の短い乗車時間とはいえ、車内にトイレがないのは不安です。
車内にゴミ箱がない
プレミアムカーの車内にはゴミ箱がありません。
車内で飲食した場合、ゴミのやり場に困ってしまいます。
アテンダントさんに「車内にゴミ箱はないんですか?」と尋ねたら、「お預かりします」と引き取ってくれたのですが、自分で始末できないのは不便です。
これらのことは、頻繁に利用する人は慣れていくので問題ないと思いますが、旅行などでたまたま利用した人だととまどいそうです。
将来、次世代のプレミアムカーをつくるときには改善してほしいところです。
淀屋橋から祇園四条までの車窓風景ノーカット動画
淀屋橋駅発車から祇園四条駅到着までの車窓風景と、三条駅の発車シーンの動画です(53分06秒)
淀屋橋・北浜駅近辺のホテル
祇園四条・三条駅近辺のホテル
まとめ
「プレミアムカー」は、京阪が満を持して登場させた有料指定席車です。ラグジュアリーな室内でくつろぎながら京阪間を移動することができます。プレミアムカー券の購入がインターネットか特急停車駅の駅事務室に限られるなど、利用しにくい面もありますが、観光利用だけでなく地元利用も定着しつつあるようです。これをきっかけに、関西でも有料車両が増えていくのかもしれませんね。