北陸本線・米原駅から木ノ本駅のあいだを走る「SL北びわこ号」は、京阪神や名古屋からもアクセスしやすいので、SL初体験の子どもたちやSL全盛期を知っているシニア世代におすすめしたい列車です。SL北びわこ号を牽引するのは蒸気機関車の代名詞といえるデゴイチ(D51)が予定されています。大きな車体で力強い走りをしてくれることでしょう。そのSL北びわこ号に大回り乗車を使って格安で乗る方法を紹介します。
新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年の運行は中止となりました。また、SL北びわこ号の運行終了が発表されたため、今後の運行計画はありません。
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SL北びわこ号の運行情報
運転日
2020年の運転日は以下の通りです。すべて日曜日の運行です。
4月26日5月3日、10日、17日6月14日、21日、28日7月5日、12日、19日8月16日、30日9月の運行はありません10月18日、25日
走行区間
北陸本線・米原~木ノ本駅間(22.4キロメートル)
運転時刻
2020年の運転時刻は以下の通りです。
SL北びわこ1号
米原駅(10時9分)発、木ノ本駅(10時52分)着
乗車時間43分
SL北びわこ3号<2020年の運転はありません>
米原駅(13時16分)発、木ノ本駅(14時00分)着
乗車時間44分
乗車できるのは米原から木ノ本方向の一方通行のみで、木ノ本から米原へは回送列車となります。
使用される車両
蒸気機関車
デゴイチの愛称でおなじみのD51形200号機が牽引します。
下の写真は2018年5月27日にラストランとなったC56形160号機です。
貴婦人の愛称でおなじみのC57形1号機が代走したこともあります。
客車
12系客車5両、定員424名 (全席指定席)
SL北びわこ号の編成表
←木ノ本 | 米原→
蒸気機関車は木ノ本側に連結されます。
SL北びわこ号の座席表
←木ノ本 | 米原→
SL北びわこ号に乗るには
SL北びわこ号は全席指定席のため、乗車券と指定席券が必要です。
乗車券は当日購入すればよいので、まずは指定席券を予約・購入しましょう。
指定席券は車内で買うことができませんので、ご注意ください。
SL北びわこ号の指定席券の予約方法
SL北びわこ号は人気列車のため、発売開始早々に売り切れる場合があります。
確実に乗りたければ、乗車日の1カ月以上前に計画を立てておいて、発売直後に予約しましょう。
指定席券の発売日
乗車日の1カ月前の午前10時から発売されます。
乗車日が4月26日の場合は、3月26日午前10時発売開始となります。
指定席券の料金
- 大人 530円
- 子ども 260円(6歳以上12歳未満)
6歳未満の幼児は、大人1名につき2名まで無料ですが、幼児が一人で座席を使用する場合は子ども料金の乗車券と指定席券の両方が必要です。
指定席券の予約方法
駅や旅行会社の窓口で予約する方法と、インターネット予約(JR西日本のe5489など)があります。
窓口に並ぶことなく、どこからでも予約ができるインターネット予約がおすすめです。
SL北びわこ号に大回り乗車で乗る場合のきっぷの買い方
指定席券を予約できたらあとは乗車券だけですが、買い方によって運賃に大きな差が出ます。
運賃をパターンごとに試算してみました。
大阪から木ノ本まで単純に往復乗車した場合の正規運賃
大阪駅から米原経由で木ノ本まで往復する場合
その運賃は大人片道2,310円、往復4,620円もかかります。
親子4人(パパ、ママ、小学生の子ども2人)で計算すると、13,840円にもなり、気軽に行ける金額ではなくなります。
ここで「大回り乗車」の出番です!
山科より西側(京都、大阪、神戸方面)の大阪近郊区間からSL北びわこ号を乗りに行く場合の大回り乗車のテクニックをお教えします。
大阪→米原→木ノ本→大津京の短い大回りコースの場合の運賃
大阪駅から米原、木ノ本、近江塩津、近江舞子経由で湖西線の大津京へ行く大回り乗車のコースを利用する場合
その運賃は大人片道990円。大津京から大阪への復路とあわせて1,980円で済みます。
親子4人(パパ、ママ、小学生の子ども2人)で計算すると5,920円で、正規運賃の57%オフ! 7,920円の節約になります。
「分割きっぷ」ならさらにおトクに
もう一つ小ワザをつかうなら、大阪~大津京の乗車券を大阪~京都と京都~大津京に分割して買うと安くなります。
大阪~京都は大人片道570円、京都~大津京は240円なので合計810円となり、180円も節約できます。
通しで買うより分割する方が安くなるなんておかしい気がしますが、間違いではありません。
回数券を使えばさらにおトクです。
大阪→奈良→柘植→草津→米原→木ノ本→近江塩津→新大阪の長い大回りコースの場合の運賃
大阪駅から奈良、柘植、草津、米原、木ノ本、近江塩津、近江舞子経由で新大阪へ周回する大回り乗車のコースを利用すると、その運賃は大人片道160円。新大阪から大阪への復路とあわせて320円で済みます。
親子4人(パパ、ママ、小学生の子ども2人)で計算するとたったの960円で、正規運賃の93%オフ! 12,660円の節約になります。
ただし、このコースで米原駅に10時までに到着するには、朝5時台に大阪駅を出発しなければなりません。
運賃比較表
上記の大阪駅起点の運賃比較を一覧表にまとめてみました。
[surfing_su_table_ex]
- | 大人1名 | 親子4名 | 正規運賃対比 |
正規運賃 | 4,620円 | 13,840円 | - |
短い大回り | 1,980円 | 5,920円 | 57%OFF |
長い大回り | 320円 | 960円 | 93%OFF |
[/surfing_su_table_ex]
お金の面だけでいえば「長い大回り」を選ぶのが最も効果的ですが、小さい子どもが同行する場合など、長時間の移動に耐えられない場合は「短い大回り」を選ぶのもよいでしょう。
途中下車したいなら「関西1デイパス」
大回り乗車の場合は途中下車することができないため、木ノ本駅などで駅の外を観光することができません。
途中下車を楽しみたい場合はJR西日本が季節ごとに発売している乗り放題きっぷ「関西1デイパス(大人3,670円、子ども1,830円)」をおすすめします(SL北びわこ号の指定席券が別途必要です)。
2020年春の利用期間は3月1日から5月31日までです。
- 当日購入はできません。利用日の1カ月前から前日までの発売となりますのでご注意ください。
- みどりの券売機またはネット予約(e5489)で購入できます。駅の窓口では購入できません。
SL北びわこ号に乗るツアーもあります
SL北びわこ号に乗りたいけれど、なかなか指定席が取れない! という場合は、旅行会社のツアーを利用する方法もあります。
SLと合わせてさまざまな観光コースが用意されているので、一日楽しめますよ~♪
大回り乗車でSL北びわこ号を乗りに行った体験記
以下の記事は2017年9月の乗車記です(牽引機はC56-160)。
筆者は大阪から新快速で米原までやって来て、木ノ本、近江塩津、大津京の順に琵琶湖を一周するルートをたどりました(短い大回りコース)。
SL北びわこ号がどんな列車なのかを写真でご紹介します。
始発駅の米原駅ホームは発車前から大にぎわい
汽車のアイコンがかわいい乗車位置の吊り看板。
C56形蒸気機関車が12系客車を牽引してホームに登場。
SLのまわりは撮影する人だかりが途切れることがありません。
いよいよ発車
車内は家族連れの姿が目立ちます。
窓を開いて伊吹山を眺めることができるのは、今ではこの列車だけ。
窓の外をたなびく排煙。煤のにおいが郷愁をそそります。
線路際には至る所に撮り鉄の姿が。
車内改札があります
全車指定席のため、車掌が車内改札にやってきます。
が、何も心配ありません。
大回り乗車の乗車券と指定席券を提示して「大回り乗車です」と言えばそれでOK。
他にも大回りで乗っている人は多いみたいです。
蒸気機関車と同じくらい貴重な客車
青いボディーに白のラインの国鉄型客車は残りわずかに。
レトロなしつらえの洗面台。
ステップがある出入口。
思わず目を引くナンバー(笑)
木ノ本駅に到着
終着の木ノ本駅に到着。約40分の乗車時間はあっという間でした。
木ノ本駅では十分な撮影タイムが設けられています。
到着後30分くらいは記念撮影の人混みが途絶えることがありませんが、そのあとがチャンスです。
米原方からやってきた電気機関車が連結されて、来た道を帰っていきました。
そして私は、このあとやって来た新快速で近江塩津へ向かいました。
まとめ
SL北びわこ号が走る米原~木ノ本へ京阪神から列車で行こうとすると、運賃が高額になってしまいますが、大回り乗車を使うことで運賃を大幅に節約することができます。蒸気機関車だけでなく、今や貴重となった国鉄型客車に乗れるのも鉄道好きにはうれしいポイント。子どもも大人も楽しめるSL列車の旅へ、大回り乗車で出かけてみませんか?
外観の特長をうまく捉えているプラレール C56 160号機 SL北びわこ号