日本国内を走る3つの豪華寝台列車「ななつ星」「四季島」「瑞風」。クルーズトレインというカテゴリーでひとくくりにされがちですが、3本とも趣きが異なっていて唯一無二の存在感を放っています。列車そのものの個性もそうですが、ツアーコースの設定も各列車で大きく異なります。特に瑞風はツアーコースが5本と突出して多いのが特徴です。JR西日本が瑞風に込めた狙いは何なのでしょうか?
3社3様のクルーズトレイン(JR九州・JR西日本・JR東日本)
個性を競う3つの豪華寝台列車
2017年、クルーズトレインの新時代が到来!
3本の豪華寝台列車が出そろいました。
- JR九州の「ななつ星 in 九州」
- JR東日本の「トランスイート四季島」
- JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」
どれ一つとして似たところがない唯一無二の列車で、興味が尽きることはありません。
そんな中で顕著な違いがあるのが列車そのものではなく、運行コースの数です。
2コースが基本の「ななつ星」「四季島」
ななつ星 in 九州のツアーコース
ななつ星は1泊2日コースと3泊4日コースの2コース。
いずれも博多駅を起終点とする周遊コースです。
トランスイート四季島のツアーコース
四季島も1泊2日コースと3泊4日コースの2コース。
ただし、冬期は2泊3日の1コースのみとなります。
いずれも上野駅を起終点とする周遊コースです。
5コースもある「瑞風」
トワイライトエクスプレス瑞風のツアーコース
瑞風は1泊2日コースが4本と2泊3日コースが1本あります。
大阪・京都を起点として下関へ向かう片道コースの「山陰下りコース」と「山陽下りコース」。
下関を起点として大阪・京都へ向かう片道コースの「山陰上りコース」と「山陽上りコース」。
そして、京都・大阪を起終点とする周遊コースの「山陽山陰周遊コース」があります。
ななつ星、四季島とくらべる非常に欲張っているようにみえるのですが、そこには大阪の会社らしい計算が働いているように思います。
バランスよく配置された立ち寄り観光地
中国地方の有名観光地を網羅
瑞風の各コースを個別に見ていると気づきにくいのですが、立ち寄り観光地の数をトータルすると、通過する各県にバランスよく配置されていることがわかります。
また、立ち寄り観光地の地名を見てみると、JR西日本が誘客に力を入れている観光地ばかりです。
しかし、有名観光地でありながら東日本や海外には知名度が低いことが悩みの種だったようで、瑞風の立ち寄り観光は観光客誘致の起爆剤になると期待されているのです。
ニューフェイスの宍道と東浜
宍道と言えば「奥出雲おろち号」が走る木次線がありますし、たたら製鉄の遺構や出雲神楽という新たな魅力を発信したいところでしょう。
東浜は無人駅ですが、駅前に広がる世界ジオパーク認定の浦富海岸を広く知ってもらうために瑞風を広告塔にしたといえるでしょう。
このように考えると、JR西日本がこの豪華列車を使って世界に情報発信したいという意図が見えてきます。
実際に海外での売り込みも進めていて、2016年にフランスで開催された「国際ラグジュアリートラベル見本市(ILTM)」に出展して豪華列車をアピールしたそうです。
宣伝効果抜群の広告塔でもある豪華列車
豪華列車が注目されることでその行き先に関心が集まり、旅行者が増えることが一番の期待効果です。
「金持ち優遇・庶民切り捨ての豪華列車」という批判もあるようですが、日本国内だけでなく海外にもインパクトあるニュースを発信できる豪華列車の経済効果は大きいといえそうです。