新千歳空港と札幌を結ぶJR北海道の快速エアポート。日中は15分おきに発着し、両ターミナル間の乗車時間はわずか37分という速達性で高い人気を誇ります。
その陰にすっかり隠れてしまった感がありますが、札幌市内の各所から空港バスも多数出ています。使ってみたらとても便利だったのでおすすめのポイントを解説いたします。
新千歳空港連絡バス、おすすめのポイント
鉄道ファンの私が「バスの方がおすすめ」というのは違和感がありますが、正直なところ今まで空港バスは眼中にありませんでした。しかし、空港バスが地下鉄駅に直結していることを知り、乗り継ぎのために初めて利用してみたら「意外と便利で快適」だということに気付いたのです。
そんなわけで、私の実体験と感想に基づいて良し悪しを評価させていただきます。
必ず座れる
空港バスを運行する北海道中央バスのホームページには、バスのメリットとして「必ず座れる」と書いてあります。全車自由席なのに必ず座れると言い切っているのが不思議ですが、確かに私が乗車したバスは乗客数10名未満でガラガラでした(日曜日の新千歳空港→地下鉄福住駅と平日の地下鉄真駒内駅→新千歳空港を利用)。おかげで気兼ねなくリクライニングシートを倒すことができました。
快速エアポートは混雑していることが多く、空席の争奪戦になりがちです。uシートという愛称の指定席車がありますが、指定席料金520円がプラスとなります。
運賃が安い
空港バスの運賃は札幌中心部から空港まで1,030円(一部、地下鉄大谷地駅などからは930円)です。鉄道の場合、札幌~新千歳空港の普通運賃が1,070円なので、40円だけですがバスの方がお安くなります。
また、1,030円区間の場合、往復券だと1,950円(1枚あたり975円)、4枚つづりの回数券だと3,710円(1枚あたり約928円)とさらにおトクに乗ることができます。
すすきの、札幌ドームや主要なホテルにダイレクトアクセス
札幌中心部:すすきの、大通公園など
札幌市内の各所にバス停があるので、乗り換えなしで新千歳空港に直結できます。すすきの、大通公園といった市内観光の定番スポットは札幌駅から地下鉄に乗り換えて移動しなければなりませんが、空港バスなら直接アクセスできるのでとても便利です。
札幌ドーム
野球・サッカー観戦やコンサートなどのイベント会場となる札幌ドームへも毎時3~4本のバスが発着しているので、北海道外から弾丸ツアーで札幌ドームへ行くという場合に使えます。
札幌市内の主要なホテル
札幌市内のランドマーク的な有名ホテルにもバス停があります。一例ですが、下記のホテルで空港バスの乗降ができます。
主要な地下鉄駅に接続
下記の札幌市営地下鉄の各駅に接続するので、乗り継ぎも便利です。目的地に応じて最適なバス停、地下鉄駅を選ぶことができます。
地下鉄東西線の駅への接続
宮野沢駅、発寒南駅、円山公園駅、西11丁目駅、大通駅、南郷18丁目駅、大谷地駅
地下鉄東豊線の駅への接続
環状通東駅、東区役所前駅、さっぽろ駅、大通駅、豊水すすきの駅、月寒中央駅、福住駅
地下鉄南北線の駅への接続
麻生駅、北34条駅、北24条駅、さっぽろ駅、大通駅、すすきの駅、中島公園駅、澄川駅、真駒内駅
無料Wi-Fiが使える(北都交通のみ)
空港バスを運行する北海道中央バスと北都交通の2社のうち、北都交通のバスだけですが、車内で無料Wi-Fiを利用できます。座席のポケットにアクセスポイントの名前とパスワードが書かれた紙が入っています。移動しながら旅行先の情報収集やSNSの投稿などをストレスなくできるのはうれしいポイントです。
【番外】三井アウトレットパークに寄り道して爆買いできる
これはおまけですが、札幌都心線と真駒内線のバスは三井アウトレットパーク札幌北広島を経由します(札幌都心線は三井アウトレットパーク入口バス停利用)。帰りの飛行機まで時間が空いてしまった、地元にアウトレットがない、という方はちょっと立ち寄ってみるのもおもしろいかもしれません。
実際、私が乗った真駒内線の空港行きバスに、三井アウトレットパークのバス停から買い物袋を抱えた中国人の家族連れが乗り込んできました。彼らは本当にアクティブですね。
新千歳空港連絡バスのNGポイント
空港バスの便利なポイントを並べてみましたが、それでもバスより鉄道が選ばれている理由はもちろんあります。ここからは空港バスのデメリットを挙げます。
時間がかかる、遅延することがある
これは鉄道と比べて圧倒的に不利なポイントですが、快速エアポートが最速37分で札幌駅~新千歳空港駅を結ぶのに対し、空港バスは同区間の直行便でも65分かかってしまいます。通常便だと約80分かかり、2倍以上の差があります。そのうえ、交通渋滞の影響も避けられませんので、プラス10~20分は見込んでおいた方が無難です。
しかしながら、たいていの場合、札幌駅が旅の最終目的地ではないはずです。札幌駅から市内各所へ地下鉄やバスで移動する時間や乗換えの面倒を考えると、空港バスのメリットが生きるのではないでしょうか。
ちなみに、札幌駅やすすきのといった街の中心部から空港までは60分以上かかりますが、街の周辺部の地下鉄福住駅、大谷地駅、麻生駅から空港までは50分前後で到達できます。
バス停の場所がわかりにくい
バス停の場所がわかりにくいというのも大きな問題です。鉄道の駅なら道路上に案内標識が出ていることが多いですし、今では携帯電話やスマホで地図を見れば簡単に場所を調べることができます。しかし、バス停の正確な場所が地図に記載されていることはほとんどないので、初めての利用者はバス停を探して右往左往することになります。
例えば、下の写真は真駒内駅前のバスのりば案内図です(画像クリックで拡大します)。これを見て、空港バスの乗り場がどこにあるのかすぐに見つけるのは難しいと思います。私自身、案内図の前でしばらく立ち止まらざるを得ませんでした。
札幌以遠の乗り継ぎが不便、わかりにくい
快速エアポートの一部列車は小樽まで直通運転しています。また、旭川方面とは札幌駅で乗り換えればいいので、不慣れな旅行者でも迷う心配は少ないと思われます。
それに対して、バスの乗り継ぎは地元民でもわかりにくく、降りたバス停から次に乗り継ぐバス停までの移動もバリアフリー化されていないことが多いので、荷物を抱えての移動は不便といわざるを得ません。
まとめ
空港バス利用のメリットとデメリットの両方を考察してみました。結論としては「行き先に応じて適材適所の利用を」ということになります。時間に余裕があるときや目的地の近くにバス停がある場合は空港バスを。札幌駅近辺や小樽、旭川など札幌以遠への移動は鉄道を利用するといった使い分けをすることで、より快適な旅行・出張ができると思います。
空港バスをまだ一度も利用したことがないという方。次の札幌行きの際に空港バスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
空港バスの全便の時刻表と運行ルートは、北海道中央バスと北都交通のホームページに掲載のパンフレットをご覧ください。
(取材日:2016年7月17日、19日)