阪急の環状区間(十三ー宝塚ー西宮北口)で大回り乗車するには、阪急の旅客営業規則に記載されているルールを知っておく必要があります。そのルールとは?
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阪急の環状経路(阪急環状線)
阪急の大回り乗車について解説します。
阪急には、宝塚線、今津線、神戸線で囲まれた環状経路があります。
阪急の旅客営業規則では、この区間のことを「阪急環状線」と呼んでいます。
この環状区間で大回り乗車ができそうだな、と考える鉄道ファンは多いと思います。
「阪急も当然、大回り乗車できるんでしょ?」
と思われるかもしれませんが、そこに落とし穴があります!
阪急は初乗り運賃で大回り乗車できる?できない?
「阪急は初乗り運賃で大回り乗車をすると違法です」
これには明確な根拠がございます。
こちらの図の赤線で示した環状経路の中の駅を発着、または、通過する場合▼
阪急環状線の経路において3区(230円)以上の乗車券を持っていれば、迂回乗車ができます。
1区あるいは2区の安いきっぷで、わざと遠回りをする乗り方をすると、それはルール違反なんです。
もし、そういう乗り方をしたら、乗った距離分の運賃を支払わなければなりません。
阪急大回り乗車の要点まとめ
阪急の大回り乗車封じ
さすが阪急さん。
大回り乗車を未然に阻止する条文を、あらかじめ設けているんですね。
阪急の旅客営業規則、第63条の2項に大事なことが書いてあります。
「前項の規定にかかわらず、阪急環状線内を発着または通過となる場合で、環状線内運賃区間数が3区(10キロ以上)の乗車券(定期券を除く)を所持する旅客は運賃計算経路によらないで迂回して乗車することができる。」
長ったらしい文章ですが・・・うまいこと考えたなぁと思います。
これは実質的に「大回り乗車封じ」ですね。
3区というと、結構な距離を乗ることになります。
阪急で3区というのは、10キロから14キロの距離の区間を言います。
十三を起点として神戸線方向ですと、武庫之荘あるいは西宮北口までが3区の運賃になります。
十三から宝塚線方向ですと、蛍池、石橋阪大前、池田が3区になります。
つまり、この環状線区間を1/3周ぐらいするのに相当します。
3区の運賃を払って、わざわざ大回り乗車するメリットは、あまりありません。
初乗り運賃で大回り乗車ができないということで、鉄道ファンとしては残念なところです。
阪急で大回り乗車するとしたら?
このような制限がありますが、それでも大回り乗車をしようとするのであれば、こんな乗り方なら可能です。
この例は、神戸三宮から大阪梅田までのきっぷ(320円区間)を使って、わざと宝塚を経由して大阪梅田まで行くというコースです。
320円で、通常より長い距離を楽しめます。
環状経路をぐるっと一周するのではなく、ある駅から離れた駅へ行く途中で遠回りをするのだったらできそうです。
ICカード乗車券(PiTaPa、ICOCAなど)で阪急環状線を大回り乗車できるか?
ここまで、紙のきっぷの場合についてみてきました。
では、PiTaPaなどのICカード乗車券を利用する場合はどうなのでしょうか?
阪急の「IC証票取扱規則」を読んでみましたが、運賃の減算についての記載が見当たりません。
ということは、ICカード乗車券についても旅客営業規則が適用されると推定します。
しかしながら、旅客営業規則は紙のきっぷを前提とした内容であり、ICカード乗車券では「3区(10キロ以上)の乗車券を所持する旅客」になり得ません。
これについて、阪急の公式見解を確認していないため正確なことは言えませんが、安全策として3区未満の運賃区間を大回り乗車するのはやめておいた方がいいでしょう(筆者の私見です)。
鉄道会社ごとにルールを確認しよう!
「阪急で大回り乗車ができる」
という人がいますが、このようなルールを知っているかというと、たぶん怪しいです。
「迂回乗車する場合、3区以上のきっぷが必要だとは知らなかった!」
という人は、間違いのないように、きっぷを正しく購入して利用してください。