広大な環状区間を有する名鉄(名古屋鉄道)では、JRルールに準じた大回り乗車ができます。名鉄における大回り乗車のルールと、相互乗り入れを行っている地下鉄鶴舞線の扱い、特急乗車時の特例について解説します。
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名鉄で大回り乗車ができる環状区間
「名鉄スカーレット」と呼ばれる、赤いボディカラーがトレードマークの名鉄(名古屋鉄道)。
中京圏に広大な路線網を持つ名鉄でも、いわゆる大回り乗車ができます。
東枇杷島から北側の、赤線で示した環状区間が対象となります。
環状経路上の駅を発着もしくは通過する場合に、大回り乗車の利用が可能です。
このあたりは、JRルールと同様と考えて差し支えありません。
鶴舞線を通過する大回り乗車はできるか?
名鉄は名古屋地下鉄の鶴舞線と相互乗り入れしています。
途中で改札を受けることなく、名鉄線→鶴舞線→名鉄線を通ることが可能です。
例えば、名鉄名古屋→栄生の1区間のきっぷを購入し、反対方向に 名鉄名古屋→知立→赤池→上小田井→栄生 というコースで大回り乗車してもいいのでしょうか?
ヤフー路線情報で経路検索してみると、次のような結果になります。
まず、現金優先(紙のきっぷ)の場合▼
実際の乗車距離に相当する運賃=1,700円となるため、大回り乗車(最短経路の運賃)での利用はできないことがわかります。
次に、ICカード優先(manaca、toICaなど)の場合▼
最短経路の運賃=170円と表示されています。
これだけを見ると、ICカード乗車券の場合は大回り乗車ができるように見えます。
manacaのページには、上の図と共に「複数の経路がある場合、最も安くなる経路の運賃を適用し減額します。」という記載があります。
より明確な根拠がないか筆者なりに調べてみましたが、名鉄と名古屋地下鉄の「旅客営業規則」および「ICカード乗車券取扱規則」に当たるものがネットに公開されていないため、正確なところがわかりません。
このため現時点としては、鶴舞線経由の大回り乗車は紙のきっぷだとNG、ICカード乗車券についてはできる可能性ありといったところです。
これは筆者の個人的見解であり、名鉄および名古屋地下鉄の公式見解ではありません。
もしこのコースで大回り乗車される際は、事前に駅員などに確認のうえ、自己責任で実行してください。
名鉄大回り乗車で特急有料席に乗れるか?
名鉄においては、特別車(有料指定席)をつないだ特急列車が頻繁に走っています。
中部国際空港のアクセス特急「ミュースカイ」(全車特別車)。
名古屋本線・犬山線など各線を走る特急・快速特急(一部特別車)。
いずれの特別車も、特別車両券「ミューチケット」を購入すれば、大回り乗車の経路上で特別車に乗れます。
名鉄における「分岐駅通過列車の特例」
枇杷島分岐点以西の名古屋本線と犬山線を乗り継ぐ場合、東枇杷島駅と栄生駅を通過する列車を利用する場合、枇杷島分岐点から名鉄名古屋駅まで乗り越して、折り返し乗車することができます。
東枇杷島-名鉄名古屋のあいだを重複乗車しますが、運賃計算上は含めずに最短経路の運賃で計算することになっています。
この特例を使って、名鉄名古屋駅を経由する大回り乗車にチャレンジしてみてください。