トワイライトエクスプレス瑞風の旅は列車だけではありません。立ち寄り観光では、駅から観光地までの移動に瑞風専用の「瑞風バス」を利用します。列車と同じ瑞風グリーンと金色の帯をまとった豪華バスの外観と車内の様子、乗り心地を徹底レポートします!
瑞風バスとは
立ち寄り観光の足となる瑞風バス
トワイライトエクスプレス瑞風のツアーでは、どのコースであっても1日1回の立ち寄り観光が設定されています。列車を降りて、駅から観光地までの移動手段として、専用の「瑞風バス」が用意されました。
瑞風バスのデザインは浦一也氏が監修
瑞風バスのデザインは、列車の瑞風と同じく浦一也氏が監修しています。瑞風のイメージカラーであるグリーンを基調とした外観や内装以外にも、列車との共通点が見られます(→詳しくは後述)
瑞風バスはいすゞ自動車製
瑞風バスの車種は、いすゞ自動車製ガーラ(2014年マイナーチェンジモデル)です(Wikipediaを参照)。
このバス車両は瑞風バスのために新造されました。列車の瑞風と同じく、1台だけしかない(予備車がない)バスです。
瑞風バスの運行は中国ジェイアールバスが担当
瑞風バスの運行・車両管理は、JR西日本グループの中国ジェイアールバス株式会社が担当します。
予備車がないため、同じバスが一日目の立ち寄り観光駅から最終日の立ち寄り観光地まで列車の瑞風と並走することになっています。
瑞風バスの外観
瑞風バスを右斜め前から見たところ(雲南市吉田町の「菅谷たたら山内」駐車場にて)
瑞風バスを左後方から見たところ(松江市の茶室「明々庵」近くの路上にて)
瑞風バスの左側面。荷物室の扉が開いています(雲南市吉田町の「稲わら工房」駐車場にて)
瑞風グリーンと呼ばれる深緑色のボディーが重厚感を演出。車体中央に大きなエンブレム。シンプルながら存在感のあるデザイン、そして金色の帯が上品な印象です。
瑞風バスのナンバープレートとその意味
瑞風バスのナンバープレートは「広島230 い 32-50」。
これもちゃんと瑞風にちなんでいるのですが、わかりますか?
まず、ひらがなの記号が「い」ですね。
列車の型式記号で「イ」といえば一等車を表す文字で、列車の瑞風は「キサイネ86」とか「キイテ87」という形式です。
3250という番号はなんとなくわかるかと思いますが、「ミズカゼ」の語呂合わせになっています(ちょっと苦しい…(笑))
瑞風バスの運転席
カーナビのモニターやスイッチ類が多数あります。
このバスは最新型の安全装置を装備しているだけでなく、運転手が2名乗務して不測の事態に備えています。
瑞風バスの車内(客席)
グリーンのモケットシート
グリーン基調の落ち着いたデザインのモケットシート。
2列+2列の4列シートで、座席数は38席です。補助シートはありません。
ゆとりのある座席の足下
瑞風のエンブレムがあしらわれたじゅうたんが敷かれています。列車の客室と同じ模様のじゅうたんです。
バスとしてはゆとりのある足下で、前席下に足先を突っ込めます。身長175センチの私でも窮屈さは感じませんでした。
すべての座席にコンセントがあります
各席にコンセントが用意されています。この写真では見えにくいですが、USBタイプではなく通常の2口のコンセントです。
座席テーブルとドリンクホルダー
座席テーブルを収納した状態。
座席テーブルを降ろすとこのようになります。ドリンクホルダーが2か所ついています。
左側のドリンクホルダーは貫通していないくぼみになっています。小さい紙コップを置くことを想定しているようです。
右側のドリンクホルダーは穴が開いていて深く差し込めるようになっています。
「重量制限 10kg」の文字が見えます。
カーテンの房掛け
瑞風バスのカーテン房掛けはグリーンとゴールドをねじり込んだデザインです。
列車の客室の窓枠にあしらわれた装飾と共通のデザインであることがわかります(上の写真はロイヤルツインの客室)。
化粧室(トイレ)
車内後方に化粧室があります。
短時間の乗車のため、利用する機会がありませんでした。
また、それぞれの立ち寄り先には新しいトイレが整備されていたので、乗車前にトイレを済ませることができました。
天井に設置の液晶モニター
天井に液晶モニターが収納されています。
液晶モニターに立ち寄り先を紹介する写真やビデオを映しながら、ガイドによる解説がありました。
瑞風バスの乗降ステップとマットの設置
乗客が乗り降りする際は、運転手が荷物室からステップとマットを取り出して入口に設置していました。
ご高齢のお客様が多く、足が弱い方もいらっしゃいました。事故防止のため、乗降時は入口のそばに運転手やガイドの人が付いておられました。
瑞風バスの乗り心地
山陽山陰周遊コースの2日目の立ち寄り観光はほぼ終日、雲南・松江をバスでめぐるツアーでした。
途中、松江自動車道を走行したり、カーブが多い山道を通ったり、松江の市街地を走ったりしました。
バス自体(ハードウェア)の乗り心地は上々! 揺れやノイズが気になることはありませんでした。
それよりも、運転が非常に慎重だったおかげで乗り心地が良かったのだろうと感じました。
そのおかげなのか、バスで気分が悪くなったという方はいませんでした。
瑞風バスのもうひとつの役割
列車トラブル時の代役として影でサポート
瑞風バスは、停車駅から立ち寄り観光先へのアクセスがメインの役目ですが、それ以外にも期待されている役割があります。
それは、列車が万一動けなくなった場合に、乗客をバスで安全な場所まで運ぶという役目です。
実際にその役目を果たす機会が、運行開始から1か月も経たないうちに訪れました。
台風3号の大雨による瑞風の運転見合わせとバス代行輸送
2017年7月5日。山陰下りコース(下関発→京都・大阪行き)の列車が大雨の影響で和田山駅に臨時停車し、運転見合わせになりました。
運転再開のめどがつかなかったことから、やむなく、全乗客を瑞風バスで大阪まで運んだそうです。
このときの乗客にとっては終着駅まで列車に乗れず不運でしたが、瑞風バスのサポートがあったおかげで不安な夜を迎えずに済んだといえるでしょう。
急な買い出しにも出動!?
JR西日本の瑞風担当者が、ある講演会で話していた裏話。
トワイライトエクスプレス瑞風のお客様から、瑞風に載せていないワインなどのリクエストが車内であったときに、急きょ瑞風バスに指令を出してそのワインを買いに行ってもらうことがあるらしい。
運行前はそんなことがあるとは予想していなかったそうですが、瑞風バスがあって助かったそうな。
瑞風バスのスナップ写真
ツアーに参加したからこそ撮れた写真をいくつか掲載します。
乗客を待つ瑞風バス
昼食会場の「食の杜 室山農園」に横付けした瑞風バス。
同じく「食の杜 室山農園」の玄関前で、乗客の帰りを待ち受けています。
瑞風バスと列車の共演
鳥取県岩美町東浜のイタリアンレストラン「アルマーレ」前で、瑞風バス越しに見たトワイライトエクスプレス瑞風。
同じく「アルマーレ」前にて、瑞風バスの車内から列車をパチリ。
まとめ
瑞風バスは、駅から観光地までの移動手段として用意された瑞風の乗客専用のバスです。列車と同じく浦一也氏がデザインを監修しており、豪華列車に負けない上質なつくりと、安全に配慮した丁寧な運転で、快適な乗り心地を実現しています。列車の瑞風ばかりが話題になってバスは影に隠れがちですが、列車と同じく希少な瑞風バスにもぜひご注目ください。