熊本には熊本市電(熊本市交通局)と熊本電鉄という2つのローカル電車が走っています。2016年4月の熊本地震発生後も迅速に運行を再開するなど、市民にとって欠かせない足として活躍しています。熊本地震後はじめて迎えるお正月の1月3日にこの電車に乗ってきました。熊本電鉄の終点・藤崎宮前駅から熊本市電の通町筋電停まで徒歩乗り継ぎした体験記と、列車から見た街の様子もあわせてお伝えします。
熊本市電(A系統)田崎橋から健軍町へ
熊本駅前から田崎橋までお散歩
お正月らしい快晴の朝。熊本駅前に人影はまばら。
駅前に熊本市電の停留所がありますが、2駅となりにある終点の田崎橋まで線路沿いを歩いてみることに。距離は500mほどなので5~6分で行けます。
二本木口を過ぎると田崎橋の停留所がすぐ近くに。速足で歩く私のとなりを黒光りする車両が追い越していきました。
水戸岡鋭治氏がデザインした超低床電車「COCORO」です。来た早々に出会うなんて幸先いいね~♪
田崎町電停を観察
田崎橋の終端部。これといって何もない場所ですが、熊本地方合同庁舎が隣接しているので平日はそれなりに利用があるのかもしれません。
終端の背後から田崎橋電停を撮影。ウロウロしているあいだに「COCORO」は出て行ってしまいました。
板張り床のレトロ列車で田崎橋から健軍町へ
電停の観察はこれくらいにして健軍町(けんぐんまち)へ向かうことにします。乗ったのは板張りの床がクラシカルな車両でした。
田崎橋から健軍町までは26もの停留所があって、50分前後かけて走破します。途中の水前寺駅前電停でJR豊肥本線の新水前寺駅と乗り換えができます。
終点の健軍町の終端は、交差点の手前で線路がプッツリ切れてました。
活気あふれる健軍町電停
田崎橋と比べると人の数も交通量もずいぶん多くて活気があります。電停のある交差点から、ピアクレスという商店街が延びていました。
健軍町という勇ましい地名に似つかわしく、戦前はこのあたりに陸軍の飛行場が。そして現在は陸上自衛隊の駐屯地があることから、軍とともに栄えた町のようです。
A・B2系統の列車が続々やってくるため、ところてん式に列車が押し出されていきます。
熊本市電(B系統)健軍町から上熊本駅へ
今度はB系統で上熊本駅へ向かいます。こちらはA系統よりさらに多い28の停留所があり、所要時間は約50分です。
A系統とB系統は、市中心部の辛島町電停の先で熊本駅方面と上熊本駅方面へ分岐します。熊本駅と上熊本駅を直通する系統はありません。
熊本で一番の繁華街にある通町のスクランブル交差点。ちょうどお昼どきでしたが、ものすごい通行人の数!
洗馬橋から新町の一駅間だけ専用軌道となっています。このあたりまでくると街の喧騒を離れた郊外の風情に。
上熊本駅に到着|熊本市電・JR・熊本電鉄の3駅を見比べる
熊本市電の上熊本駅
市電の上熊本は、三角屋根の明るい停留所でした。
駅に隣接して上熊本電車車両基地があります。
JR鹿児島本線の上熊本駅
JR鹿児島本線の上熊本駅。2015年に高架化されて装いを一新しました。
エキナカ(改札外)には「えきマチ1丁目」と名付けた商業施設が2016年12月にオープンしたばかり。JR九州系列のドラッグイレブンやスーパーマーケット、洋菓子店などが入居していました。
熊本電鉄の上熊本駅
簡素なつくりの駅舎とホーム。
駅舎のように見えた建物は乗務員の詰所で、駅員が常駐する機能は備わっていない。駅の入口にICカードの読み取り機が設置されています。
熊本電鉄のICカードの愛称は「くまもんのICカード」(長い!)。SUICAやPASMOなどと相互利用できます。
熊本電鉄の終端部から見て右手にJR、正面奥に熊本市電の駅があります。熊本電鉄と熊本市電の乗り換えは3分以上みておいたほうがいいでしょう。
熊本電鉄を乗りつくす
熊本電鉄の重要拠点・北熊本駅
上熊本駅を発車すると、市電のようにこまめに停車しながらこの列車の終点・北熊本駅に到着。ここで御代志(みよし)行きに乗り換えよう。
ホームからはこんな列車や…
あんな列車も!
2016年2月に引退した青ガエル5000形ではないですか~。フロントマスクを拝めなかったのは残念。
御代志行きの列車を待ちます。
終着・御代志駅はバス停みたいにオープンな駅
北熊本から20分の乗車で終点の御代志駅に到着。
国道387号線と平行する御代志駅のホーム。駅舎や改札口はなく、道路側のどこからでもホームに入ることができる。市電かバスの停留所みたいな感覚。
同一ホームで路線バスと乗り換えもできます。菊地温泉方面と藤崎宮前・熊本駅前方面の熊本電鉄バスが発着しています。
熊本電鉄・藤崎宮前駅から熊本市電・通町筋電停へ徒歩乗り継ぎ
無人駅の藤崎宮前駅
乗ってきた列車に再び乗り込んで藤崎宮前駅へ。
線路が1本だけの頭端式ホーム。
改札口のラッチはもちろん、駅事務室にも人影はありません。熊本市中心部に位置するとは思えない光景です。
大きな看板が立っているのでそれとわかるものの、ターミナル駅らしくないたたずまい。
藤崎宮駅前バス停の時刻表に茫然
藤崎宮前駅の前にあったバス停の名称は藤崎宮駅前。なんかややこしい(笑)
で、時刻表を見てみると…
なんだこりゃ!? 平日の朝に4本だけとは、ずいぶんあっさりしてますなあ。都会の秘境って感じがしますね。
お正月の藤崎八幡宮
藤崎宮前というくらいなので近くに藤崎宮(藤崎八幡宮)があります。初詣ででにぎわっている様子が目に入って足が向きかけましたが、本殿まで500mくらいあるので断念。
藤崎宮前駅から通町筋電停へ歩く
いろいろと興味深かった藤崎宮前駅を離れて熊本市電に乗り継ぐことにします。
地図を頼りに通町の交差点に続く通りを歩いていくと…
アーケード付きの上通商店街。急に人通りが激しくなってきました。
街ぶらしてるカップルや家族連れをよけながら、足早に通町のスクランブル交差点までやってきました。
通町筋の電停を発見! 藤崎宮前駅から急ぎ足で10分ほどでした。
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熊本市電・通町筋/水道町電停~熊本電鉄・藤崎宮前駅 乗り継ぎガイド
熊本城稲荷神社で見たもの
市電の向こうに熊本城が見えたので、そちらへ行ってみることに。
お城と市電はよく似合います。
お城に神社? 熊本城稲荷神社という神社だそうです。紅白ののぼりがはためいていて、大勢の人たちが良き一年を祈願してお参りしています。
ふりむけば熊がいた
熊本城を臨む壁面に、こんなに大きなくまモンが!
誰よりも熊本を愛しているであろう彼の願い…「がんばろう!熊本」
(取材日:2017年1月3日)
参考情報
熊本城や市内観光に便利なホテル
熊本市内観光のメインと言えば熊本城ですね。震災の傷跡が残る石垣などが痛々しいですが、地震の教訓として記憶にとどめておきたい光景です。
熊本城は市中心部の繁華街にも近いので、熊本城周辺のホテルを拠点にして観光するのがおすすめです。
熊本市電の熊本城・市役所前駅(電停)から徒歩5分以内の主なホテルは5軒あります(楽天トラベルのページが開きます)。
熊本を走る観光列車にも乗ってみよう!
熊本駅から天草観光に便利な観光列車『A列車で行こう』が走っています。おすすめのポイントや乗車記を書きましたので参考にしてみてください。
まとめ
熊本を走る2つのローカル電車、熊本市電(熊本市交通局)と熊本電鉄は、熊本地震発生後も迅速に運行を再開するなど、市民の足として愛されています。震災復興の一助にもなる熊本観光へおでかけの際は、ローカル電車に乗って素顔の熊本に触れてみてはいかがでしょうか。
乗りテツを楽しむのであれば、上熊本駅での乗り継ぎだけでなく、熊本電鉄・藤崎宮前駅と熊本市電・通町筋電停の徒歩乗り継ぎを組み合わせると、旅のバリエーションが増えるのでおすすめです。