大回り乗車で特急列車や新幹線に乗れるの?|待ち受ける関門とその対応方法

大回り乗車では普通列車しか利用できないと思われがちですが、実は、特急券を購入すれば特急列車や新幹線にも乗ることができます。格安の乗車券に比べると高価なオプションになりますが、旅行気分が盛り上がりますし、電車好きなお子さんがいれば喜ぶこと間違いなしです。

しかし、利用に当たっては注意事項がいくつかあります。詳しい内容を体験記を交えて説明します。

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目次

大回り乗車で在来線の特急に乗れます

「大回り乗車」の経路上において、特急券を購入すれば特急列車に乗ることができます。つまり、大回り乗車のきっぷでも普通乗車券として通用するということです。

同様の理由で、指定席やグリーン席についてもそれぞれの料金券を購入すれば利用することができます。

大阪近郊区間で大回り乗車可能な特急列車一覧

大阪駅に到着した「はまかぜ」

大阪近郊区間の大回り乗車で使えそうな在来線特急の例を以下に挙げます。

・特急サンダーバード(大阪~近江今津)
・特急びわこエクスプレス、ひだ(大阪~米原)
・特急こうのとり(新大阪~谷川)
・特急はるか(京都~日根野)
・特急くろしお(京都~和歌山)
・特急はまかぜ、スーパーはくと(大阪~明石)

なお、運転区間や停車駅は列車ごとに異なることがあります。

例えば、特急サンダーバードは近江今津を通過する列車が多いので要注意です。乗車前に時刻表を見たり、駅係員に聞いて停車駅を確認しましょう。

大回り乗車で新幹線に乗れます

大阪近郊区間では新大阪~米原間西明石~相生間で新幹線特急券を購入すれば新幹線に乗ることもできます。

全国的に見ても、大回り乗車で新幹線に乗れるのはここだけという希少区間です。ただし、西明石~新大阪間は含まれないことにご注意ください。

新幹線に乗りたいお子さんの願いを大回り乗車でかなえよう!

新幹線はいつの時代も子どもたちに大人気です。お子さんにせがまれて入場券を買ってホームに見に行ったお父さんお母さんも多いのではないでしょうか?

お子さんに「新幹線に乗りたい!」と言われたときは、大回り乗車を利用すれば割安で願いをかなえてあげることができますよ!

新大阪=<東海道新幹線>=京都=<JR奈良線>=奈良=<関西本線・大阪環状線>=大阪という経路の場合、大人一名:乗車券160円、自由席特急券860円、合計1,020円で済みます。

新大阪駅、京都駅のホームでは、新幹線を存分に見せてあげましょう。

新大阪駅ではN700系「のぞみ」「ひかり」「こだま」だけでなく、500系「こだま」や九州新幹線の「みずほ」「さくら」も見られるので時間をたっぷり取ってあげたいですね。

新大阪駅に停車中の九州新幹線・N700系「さくら」

大回り乗車での新幹線乗車の注意点

東海道新幹線と東海道本線(在来線)は同一路線とみなします

新大阪~米原間は、東海道新幹線と東海道本線の二つの線路が並行しています。

実態としては別々の線路ですが、新幹線は東海道本線の別線という扱いをするため、新幹線に乗っても東海道本線に乗ったのと同じとみなします。

例えば、新大阪・京都=<東海道新幹線>=米原=<東海道本線(在来線)>=山科(下車)という経路をたどると東海道本線を往復したことになり、大回り乗車が成立しません。

大回り乗車を成立させるには、新大阪・京都=<新幹線>=米原=<北陸本線>=近江塩津=<湖西線>=大津京(下車)という経路にすればOKです(逆も可)。

山陽新幹線と山陽本線(在来線)は同一路線とみなします

西明石~相生間は、山陽新幹線と山陽本線の二つの線路が並行しています。

実態としては別々の線路ですが、新幹線は山陽本線の別線という扱いをするため、新幹線に乗っても山陽本線に乗ったのと同じとみなします。

例えば、西明石=<山陽新幹線>=相生=<山陽本線(在来線)>=大久保(下車)という経路をたどると山陽本線を往復したことになり、大回り乗車が成立しません。

大回り乗車を成立させるには、相生・姫路=<山陽新幹線>=西明石=<山陽本線>=尼崎=<福知山線>=谷川=<加古川線>=日岡(下車)という経路にすればOKです(逆も可)。

東京近郊区間の大回り乗車で新幹線は利用できません

東京近郊区間のエリアにある東海道新幹線、東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線は大回り乗車では利用できません。

新潟近郊区間の大回り乗車で新幹線は利用できません

新潟近郊区間のエリアにある上越新幹線は大回り乗車では利用できません。

仙台近郊区間の大回り乗車で新幹線は利用できません

仙台近郊区間のエリアにある東北新幹線、山形新幹線は大回り乗車では利用できません。

奥羽本線の福島~新庄間は、普通列車の利用に限り、大回り乗車で乗ることができます。

福岡近郊区間の大回り乗車で新幹線は利用できません

福岡近郊区間のエリアにある山陽新幹線、九州新幹線は大回り乗車では利用できません。

待ち受ける関門

大回り乗車で特急乗車するのはルール上問題がないことは、お分かりいただけたと思います。

しかし、実行するにあたっては覚悟しておかないといけないことがあります。

車内の検札

それは「車内の検札」です。

IC乗車券の普及により、普通列車で検札に遭うことはめっきりなくなりましたが、特急列車では車掌によるきっぷの確認があります。

その際に大回り乗車していることを説明しなければなりません。

新幹線改札口

新幹線の場合はさらに「新幹線改札口」という関門があります。新幹線改札口の入場と出場の際にも係員に大回りの説明が必要になります。

きちんと説明すれば何も問題ありませんが、説明に時間を取られたり、周囲の視線が気になったり、といったわずらわしさが避けられません。

特急利用は大回り乗車に慣れてから

ここまで説明したように、大回り乗車で特急列車や新幹線に乗れるの?という問いの答えは「できる」です。

しかし、大回り乗車で在来線特急列車や新幹線を利用する場合、以下のようなリスクが想定されます。

  • 車内で検札を受けたり、新幹線の場合は新幹線改札口を通らないといけないといったわずらわしさがある
  • うっかり乗り過ごしたり、停車駅の確認漏れで近郊区間外の遠くの駅まで運ばれてしまう可能性がある
  • 適用外の特急列車(山陽新幹線の新大阪~西明石間、奥羽本線の福島~新庄間の特急列車など)に知らずに乗ってしまう恐れがある

このような理由から、鉄道の旅に慣れていない人は大回り乗車で特急列車・新幹線を使うのは避けた方が無難です。

楽しい旅をしたいのに、わざわざ危ない橋を渡る必要はありませんよね?

大回り乗車での特急、新幹線利用は、時刻表や路線図を自分で調べられるようになってからチャレンジしましょう。

もし挑戦されるのであれば、事前確認を十分したうえで実行してください。

体験記・大回り乗車で新幹線に乗ってみた

大回り乗車で特急や新幹線に乗るとどんなことがあるのでしょうか。

筆者が大回り乗車の途中で、京都から米原まで東海道新幹線の「ひかり」に乗ったのでその体験談をご紹介します。

大回りのルートは、京都=<新幹線>=米原=<北陸本線>=近江塩津=<湖西線>=大津京(下車)です。

京都駅と米原駅の新幹線乗換口の対応

京都駅の新幹線乗換口そばの自動券売機で自由席特急券を購入。

有人改札口で乗車券と自由席特急券を一緒に係員に見せて、「大回り乗車で米原まで乗りたいのですが」と告げると、きっぷにスタンプを入れて「どうぞ」と通してくれました。

東海道新幹線はJR東海なので、イヤな顔をされるのではないかと覚悟していましたが、あっけなくて逆に驚きました。

米原駅の新幹線乗換口を出場の際も、「大回りしてます」の一言で簡単に通ることができました。

車内検札の対応

自由席で車掌が来るのを待ち構えていましたが、たまたまかもしれませんが、京都~米原間では検札がありませんでした。

実際に体験していないので何とも言えませんが、有人改札の対応ぶりと同様に、特に問題になることはないと想像されます。

外国人観光客の増加で有人改札が異常に混雑

大回り乗車とは直接関係ありませんが、京都駅はJAPAN RAIL PASSを利用する外国人観光客がとても多いため、有人改札は常に行列ができている状態です。

新大阪駅も同じ状況だと思います。

新幹線の乗り換え時間には十分余裕をみておいた方がよさそうです。

ちなみに、米原駅の新幹線乗換口は、列車が到着したとき以外は人けがなくて静かでした(上の写真▲)。

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